楽天グループと日本HPは、HPが日本で販売するPCに「Rakuten AI」のデスクトップ版「Rakuten AI for Dasktop」を導入すると発表した。2026年の春~夏頃以降に出荷されるPCには、Rakuten AIを容易にインストールできる機能が実装される。対象となるのは、ゲームPCを除く個人および法人向けPCだ。日本HPは「ほぼすべてのPCに搭載する」としている。
この発表にともない、11月11日に2社は共同で記者向け説明会を実施した。
楽天グループは、今年の7月末にエージェント型AIツール「Rakuten AI」の本格提供を開始した。楽天グループが提供するサービスを横断して、顧客と対話しながら商品などを提案できる同ツール。独自開発の日本語LLMをベースとしている点、70以上にのぼる同社サービスとの連携が期待できる点に強みをもつ。そのデスクトップ版が、HPのPCに最適化された形で実装される。
楽天グループのAI事業を率いるティン・ツァイ氏は、「Rakuten AIはクラウド(オンライン)でもデバイス(オフライン)でも動作できるよう開発した。デスクトップ版では、ローカルファイルにアクセスしてすぐに回答が出せる」とアピール。加えて、日本HPの代表取締役社長 執行役員 岡戸伸樹氏も「クラウドとデバイスの双方で使える『ハイブリッドなAI』こそがあるべき姿」と強調した。

一方で、HPのPCには既にエージェントの役割を果たす「HP AI Companion」が備わっている。現時点で2つのAIエージェントは補完関係と位置付けているという。説明会では、特にPC自体の使用をサポートするのはHP AI Companion、楽天グループのサービスの入口になるのがRakuten AIとった違いが説明された。
今回、日本HPはRakuten AI for Dasktopの「開発アドバイザー」とされている。オンライン状態で活用できるAIの開発とは、異なる経験と知識が必要だという。
「当社は、インテル、AMD、クアルコム、またマイクロソフトなどと連携し、そのCPUやOSといった多階層の技術基盤上において、製品開発を行ってきた。近年は日本のアプリケーションベンダーとも連携しながら、さまざまな技術の知見・ノウハウが蓄積されてきた。こうした知見・ノウハウを活かし、Rakuten AIのリリースをサポートしている」(岡戸氏)
同社は今後の展開として、HPが強みを持つセキュリティ、またヘッドセットやビデオ会議システムなどのコミュニケーションデバイス「Poly」なども組み合わせながら、AI体験を届ける考えを示した。
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