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AIを経営の中核に据えるイトーキ、「物流を止めない」予知保全システムを開発 個別最適が鍵に

日本オラクルとの協業で実現、2016年1月に本格提供へ

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 昨今、世間をにぎわす物流システムのトラブル。その要因は、必ずしも外部からの攻撃だけではない。物流業界が2024年問題や労働力減少に直面する中、機器の不備による自動化設備の停止も、サプライチェーン全体を揺るがすリスクだ。イトーキは、長年培った自動倉庫のノウハウとオラクルのAI基盤を融合させ、故障の兆候を事前に捉える予知保全に力を入れる。

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AIが物流の現場を変える 社会課題をどう解決するか

 物流業界の環境は厳しさを増している。「物流の2024年問題」に象徴されるドライバーの時間外労働規制、EC拡大による物量増加、そして労働力減少。こうした課題から、「止まらない運用」は今の物流業界の大きなテーマといえるだろう。

 そんな中、物流現場では自動化・省人化が進んでいる。これにより利便性が上がった一方で、設備依存度が高まれば、突発的な停止がサプライチェーン全体に波及するリスクもある。この課題に対して、イトーキは自動物流倉庫の稼働データを収集・AI解析して故障の兆候を事前に把握する予知保全システム「スマートメンテナンス」を開発した。

 日常の管理タスクを機械学習によって自動化するデータベース「Oracle Autonomous AI Database」、機械学習モデルの作成・トレーニング・管理が可能なプラットフォーム「Oracle Cloud Infrastructure(OCI) Data Science」を基盤とする同システム。現場に行かずに遠隔で状況把握・復旧を支援できる「リモートメンテナンス」と一体の保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として、イトーキのシャトル式自動倉庫「システムストリーマーSAS-R」向けに2026年1月から提供が開始される。

 11月5日に行われた記者向けの説明会では、イトーキと日本オラクルがAIを活用した物流現場のアップデートについて語った。

(左から)株式会社イトーキ 代表取締役社長 湊宏司氏、常務執行役員 設備機器事業本部 本部長 中村元紀氏、設備機器事業本部 ソフトウェア設計課 課長 堤康次氏、日本オラクル株式会社 専務執行役員 クラウド事業統括 竹爪慎治氏、ストラテジック・クライアント統括 ソーシャル・デザイン推進本部 本部長 井上憲氏
(左から)株式会社イトーキ 代表取締役社長 湊宏司氏、常務執行役員 設備機器事業本部 本部長 中村元紀氏、設備機器事業本部 ソフトウェア設計課 課長 堤康次氏、日本オラクル株式会社 専務執行役員 クラウド事業統括 竹爪慎治氏、ストラテジック・クライアント統括 ソーシャル・デザイン推進本部 本部長 井上憲氏

 説明会の冒頭でイトーキの代表取締役社長を務める湊宏司氏が示したのが「AIを経営の中核に据える」姿勢だ。今回の予知保全システムの開発は、その一環だという。

 また、同氏はパートナーとして日本オラクルを選んだ理由を、「AIの食料であるデータのハンドリングのエキスパートであること」と「ミッションクリティカルなSASを提供する上での信頼性」と明かした。日本オラクルでクラウド事業を統括する竹爪慎治氏も「イトーキの取り組みが、業界・社会全体の課題を解決するという当社のAI戦略に合致した」と話す。

 オフィス事業の印象が強いイトーキだが、商品の入出庫、保管、ピッキング(集荷)、荷合わせ(仕分け)などを自動化するSAS(システマストリーマー)をはじめ、設備機器・パブリック事業も展開してきた。現在、さまざまな業種で約750基のSASが稼働している。イトーキの設備機器事業を手掛ける中村元紀氏は「トラブル発生時の対応は定期的な点検がメインだが、ここに予知保全システムを加える。できるだけ効率的に保守を行う」とした。2026年までの中期経営計画の一つとして、同事業における保守ビジネスの確立を目指している。

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稼働データをAIが解析 「いつもと違う」を見つける

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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