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生成AI経由の越境EC購買が25倍、カート追加率38.5%増──クレスティア調査

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 11月11日、クレスティアは、「生成AI経由の越境EC購買動向」調査の結果を発表した。

 今回同社は、越境ECサイト「WAFUU.COM」の市場動向分析を実施。2024年1月~2025年11月の11ヵ月にわたり、WAFUU.COMの越境ECサイト利用データ(セッション/カート追加/購入完了)を対象としている。

調査結果

 生成AI経由の顧客層は、従来のチャネルと比較して明確な特性が見られ、カート追加率が全体平均より38.5%上回り、チェックアウト到達率も22.6%上回るなど、「明確な購買意図を持った訪問者」が多いことが確認された。

図:AI経由の購買ファネル構造(出典:WAFUU.COM/Shopify実測データ)
図:AI経由の購買ファネル構造(出典:WAFUU.COM/Shopify実測データ)

 また、平均セッション時間は114秒と全体平均(91秒)を25.8%上回っており、サイト内で丁寧に商品を比較検討する行動が観測されているという。これは、AIとの対話を通じて事前に商品情報を十分に収集した上でサイトを訪問し、 さらにサイト内で詳細を確認してから購入に至るという、慎重かつ合理的な購買行動パターンの出現を示唆しているとのことだ。

 さらに、アクセス環境の分析では、モバイル端末からのセッションが全体の95%を占め、AI経由の購買活動が主にスマートフォンを通じて行われていることが明らかになったとする。これは、ChatGPTをはじめとする対話型AIの多くがモバイル利用を前提としたUIで普及していることと強い相関があり、AI購買が「スマートフォン中心の新しい購買行動」として定着しつつあることを示しているという。

図:デバイスタイプ別セッション比率(出典:WAFUU.COM/Shopify実測データ)
図:デバイスタイプ別セッション比率(出典:WAFUU.COM/Shopify実測データ)
AI経由で購入される商品の特性と地域分布

 AI経由とGoogle経由の購買カテゴリを比較したところ、Google経由では特定ブランドや型番を指定した検索が多い「ゲーム」「腕時計」などが上位に並ぶ一方、AI経由では「どの製品を選ぶべきか」というオープンな相談から始まる購買が中心となっていた。

 具体的には、理美容家電・キッチン用品(構成比17.5%)、健康食品・サプリメント(9.7%)、美容・パーソナルケア(9.7%)など、商品選択に詳細な情報が必要なカテゴリが上位を占める。これは、AIが単なる検索エンジンの代替ではなく、商品選択のアドバイザーとして機能し、従来のWeb検索では見つけにくかった専門的な商品情報へのアクセスを可能にすることで、新たな購買プロセスを創出していることを示しているという。

 なお、AI経由の購買は世界947の都市・地域からアクセスが確認されており、特定の地域に限定されない真にグローバルなトレンドとして拡大しているとのことだ。特にアクセスが多かったのは、トルコ(イスタンブール)、イギリス(ロンドン圏)、韓国(ソウル)、ベトナム(ホーチミン)、日本(東京)など、アジア太平洋地域が中心。一方で、アメリカ・カリフォルニア州(CV率1.85%)やフランス・イル=ド=フランス(CV率1.29%)など欧米市場も堅調であり、AI経由購買が世界各地で同時多発的に進展し、特定地域に限定されないグローバルなトレンドであることが明らかとなったとする。

ChatGPT内購買機能の開始とその意義

 2025年9月、OpenAIはChatGPT内で直接商品を購入できる「Instant Checkout」機能を米国で開始。現在はEtsyセラーが対応しており、クレスティアが利用するShopifyの100万以上の加盟店への展開も近日中に予定されている。さらに10月には、PayPalとの提携により2026年から数千万の加盟店がChatGPT上で販売可能になることが発表された。

図:ChatGPT内購買インターフェースの例(出典:OpenAI Developers「Commerce Guide」
図:ChatGPT内購買インターフェースの例(出典:OpenAI Developers「Commerce Guide」

 この動きは、クレスティアが観測している「AI経由の購買トラフィック25倍増」という現象の次のフェーズを示しているという。現在、AIプラットフォームは消費者を外部ECサイトへ誘導する「紹介者」の役割を果たしているが、Instant Checkoutの普及により、AI自体が完結した購買チャネルへと進化する可能性があるとのことだ。

越境ECへの影響と機会

 ChatGPTの週間アクティブユーザー7億人以上という規模は、Google検索に匹敵する巨大な顧客接点。特に越境EC事業者にとって、以下の3つの重要な変化が予測されるという。

  • 購買プロセスの短縮化:AI内での商品発見から購入完了までがシームレスになり、従来の「検索→サイト訪問→カート→決済」という段階的なプロセスが大幅に簡略化される
  • 商品情報の最適化:従来のSEOに加え、AIが理解しやすい構造化された商品情報の整備が競争優位の源泉となる
  • 新規市場へのアクセス:言語や決済の障壁が低減されることで、これまでリーチできなかった地域の顧客獲得が加速する
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AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)

「AIdiver」(エーアイダイバー)は、株式会社翔泳社が運営する、企業およびビジネスパーソンのAIの利活用にフォーカスしたメディアです。経営、ビジネス、日々の業務をAIで変革したい「AIリーダー」の皆さまに役立つコンテンツを発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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