2025年11月14日、インテックと長野県伊那市は、AIカメラによってJR伊那北駅利用者数および車両数のデータを収集・分析し、その基礎データとしての有効性を確認したと発表した。

伊那市では、県立高校再編による新校開校を予定しており、JR伊那北駅周辺の整備計画を進めている。この整備には、駅の利用実態を正確に把握する必要があるが、従来の目視調査では人員確保や集計作業に非効率性の課題があった。このため、伊那市とインテックはAIカメラを活用し、常時計測によるデータ収集と計測精度を検証した。検証は2025年6月16日から9月30日まで実施され。
AIカメラによる人数計測精度の検証
AIカメラは駅構内に設置された。カメラは利用者を撮影し、プライバシー保護のため映像は保存せず、数値のみ記録する仕組みとなっている。検証の一環で、特定日時には人による目視カウントも実施し、AIカメラ計測との誤差を検証した。
結果として、AIカメラによる人数計測の誤差は3%以内と高精度であることが確認された。特に、人物判定を頭頂部で行う「真下画角モード」を用いることで、人物の重なりによる誤認識も抑制できたとした。
AIカメラによる車両数の計測精度の検証
駅前広場(屋外)にAIカメラ1台を設置し、撮影した映像から駅前広場ロータリーへ
の車両進入および駅前広場前の県道を通過する車両数を計測。また、目視による計測結果との比較を行うため、特定日時に人によるカウンター計測を実施した。
結果的に、駅前広場ロータリーへの車両進入数は、目視による計測結果を基準に比較した場合、誤差が2%以内に収まり、高精度な計測結果が得られた。一方で、駅前広場前の県道を通過する車両数については、通過速度や撮影画角の影響により、目視計測との比較で約10%の差異が生じた。
BIツールによるデータ分析の検証
駅の利用者数や駅前の交通量をBIツールで可視化(日別、時間別、曜日別等)し、公共
交通機関の発着時間や地域内のイベント日時等との相関関係を分析した。
その結果、ピーク時間や曜日別の傾向、入退場数の差、公共交通機関や地域内イベントとの相関関係など、JR伊那北駅の利用実態を把握することができた。これらのデータは、駅周辺の再整備における歩行者の安全を確保する通路設計や混雑を緩和する駅舎内の空間構成、駐停車スペースの動線設計などに活用できる。
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AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)
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