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AI経営の成否を分けるCAIO設置格差のリアルと、推進のカギ「AIガバナンス」

PwC Japanグループ主催『CAIO実態調査』

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開発の民主化がもたらす組織と人材の変化

 CAIO配下の専門組織の人材ポートフォリオにも、生成AI時代特有の変化が見られる。従来、AIプロジェクトといえば大規模開発を管理するプロジェクトマネージャー(PM)が中心だったが、CAIO設置企業ではPMの比率が低く、代わりに「ビジネスアナリスト」や「UX/UIデザイナー」の比率が高まっている。

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 これは、ノーコード・ローコードツールの普及によりAI開発のハードルが下がり、技術そのものよりも「どの業務にどう適用するか(ビジネスアナリスト)」「ユーザーがどう使うか(UI/UX)」が重要視されるようになったからだという。

 藤川氏は質疑応答の中でも、「LLMを活用するフェーズに入った現在、技術的知識以上に深い業務知識が求められている」と指摘している。必ずしもAI技術の専門家でなくとも、社内業務を熟知し、組織横断的な連携を推進できる人材こそが、今のCAIOに求められているといえる。

AXを推進するためのカギはAIガバナンス

 一方で、現役CAIOは理想と現実のギャップに苦悩している。CAIOが本来注力すべきと考えている役割の上位には「AIのリスク管理」「AI人材の採用」「エグゼクティブへのAI教育」が挙がるが、現実にはこれらの「下準備」に十分なリソースを割けていない。

 しかし調査結果は、AIガバナンスの専門性を持つCAIOがいる企業ほど、過去3年間でAI活用が「後退」することなく、堅実に前進していることを示している。AIガバナンスはイノベーションのブレーキではなく、事故を防ぎながら速度を上げるための「ガードレール」として機能する。

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 藤川氏は質疑応答において、企業規模にかかわらず、AIをベースに事業やプロセスを根本から変革する意思決定を行うならば、CAIOという役割は不可欠であると改めて強調。自社が目指す変革は「効率化」か、「新規事業」か、あるいは「企業文化の刷新」か。経営層がその目的を明確にし、最適なタイプのリーダーを定義して権限を与えることこそが、日本企業がAI時代を勝ち抜くためのカギになるだろうと語った。

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この記事の著者

押久保 剛(AIdiver編集部)(オシクボ タケシ)

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年にスタートの「MarkeZine」立ち上げに参画。2011年4月~2019年3月「MarkeZine」編集長、2019年9月~2023年3月「EnterpriseZine」編集長を務め、2023年4...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/245 2025/11/25 09:00

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