AIを使い続けるためのインフラ構築 日本の強みを活かせるか
AIが企業の競争力、そして国の経済力を左右する時代、その基盤構築は喫緊の課題だ。OpenAIのクォン氏は、AIインフラを構成する要素として「物理的な要素(土地・電力、データセンターなど)」「データ」「エコシステム」を挙げた。「これらのハーモニーが重要だ」と語る。
各国は、いかに電力供給や資本リソースを確保し改善するかに注力しているという。日本の場合は「既に産業のエコシステムや高度なGPU提供国との良好な関係ができている」とクォン氏。土地・電力の課題に政府がフォーカスして取り組んでいる点からも、評価しているようだ。
AIインフラの構築は、クォン氏が挙げた要素とともにハードウェアの材料なども当然求められる。さらに、それらを運ぶための部品なども必要だ。つまり、サプライチェーン全体が重要となる。関係者・機関が多いことから国家レベルでの連携は不可欠といえるだろう。
「民間だけでは大規模なAIインフラを構築できない。適切なユースケースを見つけられるか、どれだけ資金調達できるか。このような視点で官民連携が必要となる。AIインフラは経済を発展させるためのものと考えなければならない」(クォン氏)
特にユースケースの特定は非常に重要な観点だ。少子化や人手不足が進む日本では、医療や教育の高度化が検討できる。「テクノロジーが存在しているだけではだめだ。それをどう使えるのか、日本の経済をどうしたいのかを設計しなければ」とクォン氏は強調した。
一方で、そもそもAIインフラの整備には莫大な資金が必要となる。この大きな壁をどのように乗り越えるべきか。三菱UFJ銀行の藤木氏は、資金調達を行う金融機関の視点から分析する。
