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AIを経営の中核に据えるイトーキ、「物流を止めない」予知保全システムを開発 個別最適が鍵に

日本オラクルとの協業で実現、2016年1月に本格提供へ

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稼働データをAIが解析 「いつもと違う」を見つける

 従来の保守体制には、次の3つの限界があった。

  • 情報不足による原因追究の遅れ:トラブル発生時、現場に行かなければ詳細な動作ログが取得できず、復旧に時間とコストがかかる
  • 定期点検ベースの非効率的な部品交換:交換時期が固定的なため、早すぎる交換や、逆に遅すぎる交換による突発停止のリスクが生じる
  • 予防保全では防げない突発故障:定期点検中心では故障の兆候を捉えにくく、未然に防ぐことが難しい

 ITOKIアドバンスドメンテナンスは、この限界をAIによる予知保全(スマートメンテナンス)とリモートメンテナンスで打破する。

 スマートメンテナンスでは、シャトル式自動倉庫のドーリー(水平移動)およびリザーバー(垂直昇降)から稼働時間・動作回数・動作距離などの稼働データを収集し、AIが解析することで「いつもと違う」という故障の兆候を検知する。これにより、納入からの経過年数ではなく、実際の稼働状況に応じた最適な部品交換時期を通知し、無駄な交換を削減しつつ、故障の未然防止につなげることが可能となる。

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 また、本システムの特徴の一つであり、特許も取得しているのが「入庫制限機能」だ。AIによって故障の兆候が検知されたドーリーやリザーバーに対し、自動または手動で入庫のみを制限する。既に入庫済みの荷物は出庫し続けるため、当該機器は徐々に使用されなくなり、最終的にその設備全体が停止するリスクを低減できる。他の段は稼働を継続するため、システム全体への影響を最小限に抑えつつ、故障による運用停止を回避することが可能だ。

 さらに、リモートメンテナンス機能により、遠隔での状況把握や一部ソフトウェア更新が可能となり、トラブル発生時の復旧時間を大幅に短縮する。

 同社は、これらによって「ダウンタイム(作業が停止している時間)の回避による生産性向上」「無駄な部品交換の削減」「保全業務の効率化」などを実現するという。

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「データが多ければいい」わけではない あえて個別最適が必要な理由

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/191 2025/11/10 08:00

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