稼働データをAIが解析 「いつもと違う」を見つける
従来の保守体制には、次の3つの限界があった。
- 情報不足による原因追究の遅れ:トラブル発生時、現場に行かなければ詳細な動作ログが取得できず、復旧に時間とコストがかかる
- 定期点検ベースの非効率的な部品交換:交換時期が固定的なため、早すぎる交換や、逆に遅すぎる交換による突発停止のリスクが生じる
- 予防保全では防げない突発故障:定期点検中心では故障の兆候を捉えにくく、未然に防ぐことが難しい
ITOKIアドバンスドメンテナンスは、この限界をAIによる予知保全(スマートメンテナンス)とリモートメンテナンスで打破する。
スマートメンテナンスでは、シャトル式自動倉庫のドーリー(水平移動)およびリザーバー(垂直昇降)から稼働時間・動作回数・動作距離などの稼働データを収集し、AIが解析することで「いつもと違う」という故障の兆候を検知する。これにより、納入からの経過年数ではなく、実際の稼働状況に応じた最適な部品交換時期を通知し、無駄な交換を削減しつつ、故障の未然防止につなげることが可能となる。
また、本システムの特徴の一つであり、特許も取得しているのが「入庫制限機能」だ。AIによって故障の兆候が検知されたドーリーやリザーバーに対し、自動または手動で入庫のみを制限する。既に入庫済みの荷物は出庫し続けるため、当該機器は徐々に使用されなくなり、最終的にその設備全体が停止するリスクを低減できる。他の段は稼働を継続するため、システム全体への影響を最小限に抑えつつ、故障による運用停止を回避することが可能だ。
さらに、リモートメンテナンス機能により、遠隔での状況把握や一部ソフトウェア更新が可能となり、トラブル発生時の復旧時間を大幅に短縮する。
同社は、これらによって「ダウンタイム(作業が停止している時間)の回避による生産性向上」「無駄な部品交換の削減」「保全業務の効率化」などを実現するという。
