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AIがもたらす未来と企業の現実解

なぜ?MIXIがAI活用率99%な理由 裏にある社員の意識改革とAI-readyな組織作り

取締役 上級執行役員 村瀨龍馬氏が語る、AI活用の二極化を乗り越える方法

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“シャドーAI”など新たな課題も MIXIが目指す先は

──AIによる効率化が進んだことで、今、新たに直面している課題はありますか。

村瀨:バックオフィス業務は、下期中に一部が完全に自動化される見込みです。そうなると、社内で許可されていないIT機器・サービスが従業員によって無断で利用されるシャドーITのように、シャドーAIが課題になると思います。AIで社員が自ら作ったツールやAIエージェントなどが、どこで動いているのかを把握できなくなり、セキュリティ上のリスクが生じる。利便性は高まりますが、その一方で、使い方をモニタリングする必要があります。

 また、効率化によって仕事に余剰時間が生まれたとき、社員がその時間をどう使うのかも、今後生まれる課題の一つでしょう。そもそも一人に対する業務量が多いため、今はまだ仕事の負荷軽減にとどまっていますが、将来的には8時間かかっていた仕事が、AIを使って4時間に短縮できるかもしれません。そうなったとき、残りの4時間で新しい事業を考えたり、新たなスキルを身につけたりしてほしいです。一つのプロジェクトに、バックオフィスのメンバーが立ち上げ時から参画するといった体制も作れると思います。

 すると、幅広いスキルとAI活用の実績をもつ“スーパー社員”が自然に出てくるはずです。結果的に、社員一人ひとりの市場価値が高まります。それぞれのキャリアにとっても、メリットが大きいです。

──toC向けサービスの面でも、まだまだAIが活躍する余地があるのではないでしょうか。

村瀨:そうですね。AIの進化によって、アプリケーションをコピーできるスピードが加速しています。「家族アルバム みてね」のようなサービスも、いくらでも量産できる時代がすぐそこまできています。「これまで築いてきた数千万人のユーザー基盤があるから大丈夫」とは、いえない状況です。

 これからは、AIを使った機能でどれだけ差別化できるかが勝負になります。特に、MIXIが強みとするコミュニケーションの部分を、深く掘り下げた機能を作っていく必要があります。ユーザー向けのAI機能は、まだ試作段階のものが多いのが現状ですが、下期、特に力を入れたい部分です。

──村瀨さん自身は、どのような目標をもっていますか。

村瀨:私は、自分のことを“エンタメ側の人間”だと思っています。人が驚くもの、心を動かすものを作るのが大好きなんです。今まではアイデアを形にするのに数ヵ月かかっていましたが、AIを使えば、今日思いついたものを明日にはユーザーに届けられるようになる。そんな世界を実現したいですね。

 多くの人が「AIによって仕事がなくなる」と心配していますが、私は「仕事はなくなってなんぼ」だと思っています。仕事がなくなることは、新しいことを始めるための第一段階なんです。AIが仕事を引き受けてくれることで、人はもっと創造的な活動に時間を使えるようになります。

 社員には「頭をゼロにして、AI前提のワークフローを目指してほしい」と伝えています。今は、誰もが新しいことに挑戦できる、AIのボーナスタイム。この時間を存分に謳歌し、自らのキャリアと会社の未来を切り拓いていってほしい。そして、その推進役を担っていくのが、私の役割だと思っています。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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