IBMは、ネットワーク・ネイティブなAIソリューション「IBM Network Intelligence」をIBM Researchと共同開発した。本ソリューションは、高度な時系列基盤モデルと、大規模言語モデルを活用した推論エージェントとを組み合わせて、ネットワークを理解するAIコラボレーターを作成する。
信頼できるAI:分析と推論の二重インテリジェンス・アプローチ
IBM Network Intelligenceには、深層学習技術とエージェント型技術の補完的な活用に基づく、人間とAIの協働モデルが導入されている。膨大なネットワーク・データを理解する分析AI、データの関係性を把握し問題や根本原因を仮定、ノイズを除去して高精度な洞察を提供する推論AIを組み合わせている。これらを統合することで、AIがスケール対応、パターン認識、目標指向型アクションを担い、人間が文脈の把握・判断・信頼構築を主導する新しい運用モデルを実現する。
「分析インテリジェンス」:ネットワーク・テレメトリーとデータ・インテリジェンスのための分析AI
IBM Network Intelligenceの分析AIは、IBM Researchが開発したコンパクトなAIモデルであるIBM Graniteの時系列基盤モデルによって支えられている。
これらのモデルの特徴は、ネットワーク向けに特化されており、高ボリュームのテレメトリー、アラーム、フロー・データで事前学習されている点にある。従来の統計的機械学習やルール・ベースのツール、汎用LLMとは異なり、ネットワーク挙動の深い文脈理解を提供するという。アラートが出ない隠れた問題の検出や、閾値のない劣化早期警告を可能にし、自律システムへの信頼構築に不可欠な信号対ノイズ比の改善を実現する。
IBM Network Intelligenceは、組織が使用するさまざまなネットワーク・データを一つのパイプラインで処理できるよう設計されている。ネットワーク設計、使用ベンダー、運用手順、その他のルールやガイドラインなど、組織固有の情報も含まれる。
「推論インテリジェンス」:文脈的推論と自動化のための生成AI
IBM Network Intelligenceのデュアル・アーキテクチャー・アプローチにおける「分析インテリジェンス」の部分は、ネットワーク・データを「推論インテリジェンス」に供給する。生成AIは、大規模言語モデルとネットワーク文脈によるエージェント・フレームワークを通じて、文脈的推論と自動化を実現する。IBM watsonx技術を用いて構築されたAIエージェントは、問題の検出、原因の特定、修復案の生成を行う。これらのエージェントは、トラブルシューティング、トリアージ支援、修復案の提示を行い、説明可能性を確保するために適切な人間の関与も維持する。
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AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)
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