AIエージェント=仲間 技術以上に「文化の醸成」が必要
重要なのは「技術だけではAIエージェントが定着しない」と理解することです。私たちは、制度の設計によって、社内文化を変えることに注力しました。具体的には、次のような取り組みです。
(1)AIエージェント表彰制度:毎月「最も成果を上げたAIエージェント」を称える
(2)“AI新入社員”の発表:新規で生まれたAIエージェントを役割・得意領域とともに紹介し、チームの一員として迎え入れる
(3)利用率の表彰:毎週AIエージェントを1番使っているチームを表彰
このようにして、AIが“ツール”ではなく“仲間”として受け入れられるようになってきたのです。AIエージェント協働推進プロジェクト開始から3ヵ月後、各部門でAIエージェントが実務に組み込まれ、たしかな成果が見え始めました。
営業部門:商談準備・リサーチ時間を40%削減
PM部門:要件定義の初稿作成をAIが担当し、判断業務に集中
マーケ部門:施策分析をAIが支援し、意思決定スピードが向上
実際に、次のようなAIエージェントが活躍してくれています。
さらに、各チームにPMが入り込み、構築・運用の標準化を推進中です。まだ発展途上ですが、一人あたり月間約35%の工数削減が見込まれる水準にまで到達しました。
繰り返しになりますが、AIエージェントの活用は単なる効率化ではありません。人とAIそれぞれの強みが発揮されるように業務を再設計する行為であり、経営・人材・データを横断する三位一体の改革に近い取り組みです。
この変化は、企業文化を変えることにも直結します。社員に「AIに任せる勇気」を与え、「人が創造に集中できる環境」をつくる。これが、今後のマネジメントの大きなテーマになるでしょう。
AIを特別視する時代は、もう終わりつつあります。気づけば当たり前に隣で働いている──そんな未来をどうつくるかが、今の企業に問われています。
本連載では今後、各職種(PM・営業・マーケティングなど)でのAIエージェント協働のリアルをお届けします。人とAIが本当に協働するとはどういうことか。その具体と葛藤を、次回からさらに深く掘り下げていきます。
