米国時間の2025年9月17日、Zoom Communications, Inc.は次世代AI Companionである「Zoom AI Companion 3.0」を発表した。進化したエージェント型AI機能をZoom Workplaceに導入し、ユーザーの会話から得られる洞察を活用することで、業務の質を高め、作業の効率化をサポートする。また、同社はCustom AI Companionアドオンで利用可能な、新しいカスタムAIエージェントも発表した。各種機能は、日本では順次提供開始予定となっている。

AI Companion 3.0
- AIノートテイカー機能:対面またはMicrosoft TeamsやGoogle Meetなど、Zoom以外のプラットフォームでのミーティングでも、AI Companionが利用可能となる。ユーザーがアイデアを簡単にメモすると、AI Companionがそれを取り込み、内容を整理・補足し、要点を強調してまとめる(2025年10月提供予定)
- 主体的な情報取得機能:Zoom Workplaceにとどまらず、必要に応じてGoogleやMicrosoftのプラットフォームも横断的に検索可能(2025年11月提供予定)
- スケジュール管理:AI Companionに、「私の時間を空けてください」と依頼すると、予定しているミーティング、当日中に終わらせる必要のあるタスク、ミーティングの参加予定者や役割に基づいてスキップ可能なミーティングが提案される。スキップしたミーティングは、AI Companionが作成した議事録の提供をホストに依頼することもできる(2025年10月提供予定)
- ミーティングの準備スキルを強化:ミーティングの前にプロアクティブなプロンプトを表示する(2025年10月提供予定)
- プロアクティブなミーティングの提案機能:ユーザーは会話を整理しながら、アジェンダや重要な決定事項の状況を把握し、スムーズに次のアクションへ移れる(2025年11月提供予定)
- グループコラボレーションの促進:新しいZoomie Group Assistantは、グループメンバーに代わってアクションを起こしたり、質問に答えたりできる。たとえば、ユーザーがチャットで@Zoomieをメンションし、「@Zoomie プロジェクトの最新情報は?」や「@Zoomie チームのアクションアイテムは?」と尋ねることで、回答を得られる(2025年12月提供予定)。ハイブリッド環境では、Zoom Roomでユーザーが「Hey, Zoomie」と呼びかけることで、Zoom Roomへのチェックイン、照明や温度などの室内環境のコントロール、画面共有などのサポートが提供される(2025年12月提供予定)
- 対面での時間を最適化:複数のユーザーが同じオフィスにいるのにミーティングルームが予約されていない場合、先回りして通知する。また、参加者が同じミーティングのために異なる部屋を予約してしまった場合は、調整したり、部屋の広さや場所にもとづいて最適なミーティングルームを提案したりする(2025年12月提供予定)
- Zoom Tasksでエージェント型AIの活用が可能:ToDoリストの作成だけでなく、タスクの完了までサポートする(2025年10月提供予定)
- ライティング支援機能:ユーザーのスタイルに合わせて柔軟に対応できるインタラクティブな画面上で、ビジネス文書の下書き、編集、見直しを支援する(2025年11月提供予定)
- 新しいディープリサーチ機能:文章作成とコンテンツの生成を支援する。たとえば、Zoom Docsでは、Zoomや統合されたサードパーティ製アプリ内での会話、社内ドキュメント、企業ナレッジベース、外部のウェブ検索を活用して、多様なデータポイントを包括的なドキュメントにまとめられる(2025年10月提供予定)
Custom AI Companion アドオンによる、新しいカスタムおよびサードパーティ製エージェント
- Zoom AI StudioのCustom AIエージェント:IT管理者はナレッジベースやツールを設定し、AIエージェントの機能を導入前にテストできるようになる(2025年9月提供予定)
- AI CompanionがAgent2Agent(A2A)でも動作:ユーザーがコンテキストを切り替えることなく、技術スタックを最大限に活用できるよう支援する(2025年12月提供予定)
- ナレッジコレクションの機能強化:SharePointとServiceNowのコネクタが追加される。これらのコネクタは、追加のナレッジソースからデータを取得できるようになり、クエリに対してユーザーにより関連性の高い回答を提供できるようになる(2025年9月提供予定)
Zoom Workplace
- ライブビデオフィードを追跡して反映するリアルなアバター:自分の顔立ちをもとに作られたリアルなAI生成アバターを利用でる(2025年12月提供予定)。ミーティングのホストは、Zoom ClipsとAIアバターを使って、出席者向けにパーソナライズされたメッセージを作成し、待機室での体験をカスタマイズできるようになった(2025年10月提供予定)
- Zoom Meetings向けのリアルタイム音声翻訳:言語による障壁が軽減し、円滑なコラボレーションとエンゲージメントを支援する(2025年12月提供予定)
- Zoom for Cisco Rooms:Ciscoのハードウェアでも、Zoom Meetings体験を実現(2025年9月にベータ版の利用登録開始予定)。ユーザーは、HP Dimension with Google Beam for Zoomによる、没入感のあるリアルな体験が可能(2026年提供予定)
- 高精細な映像を提供:Zoom Meetingsのユーザーは今後、60fpsの高フレームレート動画、高ビットレートによる鮮明な映像、複数人のHD映像を同時に配信できる高帯域幅モードなどの機能により、音声・映像の品質向上を体験できるようになる(2025年12月提供予定)
- Zoom Whiteboardを使って共同ホワイトボードを直接生成:目的に合わせたプロンプトを入力することで、AI Companionが数秒でテンプレートを生成する(2025年9月提供予定)
- AI Companionを使用したZoom Hub Knowledge Q&A:ユーザーは簡単に質問でき、Zoom内のファイルや有効なサードパーティのデータソースから情報を取得できる(2025年11月提供予定)
- Zoom PhoneがZoom DocsおよびZoom Tasksと連携:ユーザーは、会話から派生したタスクを完了させ、重要な通話の洞察を把握できるようになる(Docs::2025年9月提供予定/Tasks:2025年12月提供予定)
- Zoom Phoneセルラーコンパニオン機能:外出中でも利用できる新しいモバイル体験を提供。ユーザーは、ネイティブのモバイルインターフェイスを使って通話でき、低帯域幅の環境でも高品質な通話が可能(2025年9月提供予定、初回はT-Mobile限定)
そのほか、Zoomは、組織や学校がビデオコンテンツを作成・管理し、その価値を最大化する方法を再構築する考え。新しいZoom Video Managementは、一元化されたプラットフォームで、組織がIT資産を可視化・管理できる。それと同時に、散在を減らし、ストレージ、編集、公開、検索、パフォーマンス追跡を効率化する。Zoom Meetings、Events、Webinars、Clipsにまたがるコンテンツに対応し、一元化する。
教育機関では、講義の録画、トレーニング、プロジェクトを単一のプラットフォームで部門横断的に管理できる。また、AIによる文字起こしや翻訳、検索、分析機能により、学生は非同期の講義録画コンテンツを簡単に閲覧でき、Canvas、Brightspace、Moodle、BlackboardとのLMS連携で、シームレスなアクセスが可能となる。
Zoomは、看護師、小売店店員などのフロントラインワーカーをサポートするために、ハードウェア認定プログラムを拡張する計画。プログラムの一環として、まずJabraと提携し、認定済みワイヤレスBluetoothヘッドセットを提供する予定となっている(2025年10月提供予定)
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AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)
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