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AIがもたらす未来と企業の現実解

約10年前からAI推進 世界中の社員を巻き込むマニュライフGの教育システムと独自開発のツール活用術

金融・保険業界のAIリーダーに──グローバルCMOが語った理想像

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残り25%の社員をどう動かすか AI人材を育てる「プロンプトソン」

 75%と大半の社員が業務にAIを活用しているマニュライフグループだが、残りの25%はまだ積極的にはなれていない。これに対して、同社は全世界の社員が受けられる教育システムを複数用意している。

 たとえば、月に1回、金曜日の午後に社員はAIの活用トレーニングを受けられる。その時間は、会議や電話対応をしなくても良いというルールだ。ほかにも、さまざまなタイプのプロンプトをまとめた一覧表を社員に向けて公開したり、AI活用のノウハウを動画配信したりするなど、日々の課題の自己解決を促す体制づくりにも力を入れているという。

 中でも興味深いのは、プログラマーやデザイナーなどがチームを組み短期間で開発を行うハッカソンならぬ「プロンプトソン」。参加する各チームは、2時間かけて手を動かしながらAIツールの実践的な使い方を学ぶ。こうしたトレーニングに参加する同僚を見て、AIに興味を持つ社員も少なくない。

「AIツールを積極的に活用している75%の社員の生産性は、大幅に向上しています。取り入れるタイミングが早ければ早いほど、生産性が上がるスピードも速い。この流れに気づき、少しずつAIの利用者が増えています」

 一方で、日本法人に目を向けると、AI活用が他国に比べると慎重だという。特にシンガポールや中国では、日常的にAIが活用されており、社員一人当たりの利用時間も長いとわかっている。「この2ヵ国は、AIによる影響についてポジティブに捉える傾向がある」とレゲット氏。とはいえ「日本においても、AIに対する認知や活用率の高まりを感じる。当社としては、今の状況を楽観的に捉えている」と話す。

 同社では、各国に社員が存在する体制を活用し、グローバルコラボレーションを行っている。各事業部がグローバルで連携しており、地域をまたいだチームでAI活用に取り組むのが特徴的だ。そのため、活用が進んでいる国の部門が他国を引っ張るという流れをつくれるのだろう。

「当社では、一つの市場で実験して、他のビジネスや地域にスケールアップできるのが強みです。日本法人も、他国にしっかりとついてきています。実際に、コンタクトセンターなどを中心にAIが取り入れられているのです。日本では規律やプライバシーの保護がより重視されますが、そこをサポートできるようなAIツールを開発していきます」

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AIを評価するAIも 顧客のために生産性を上げ続ける

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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