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AIがもたらす未来と企業の現実解

グループ約28万人/SE5万人を動かせるか、日立が挑む「AI変革」 草の根で広める“腑に落ちる”体験

CAXO(Chief AI Transformation Officer)が語る「AIとの共存」

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グループ約5万人のシステムエンジニアの役割は……

 日立グループの事業構造において、約5万人にも及ぶシステムエンジニア(SE)が担う役割は極めて大きい。彼らの働き方をいかに変革するか、これが日立が推し進めるLumada、同社のAXの成否をわける重要課題だろう。昨今、AIによる自律的なソフトウェア開発の可能性(AI駆動開発)が注目される中、SEの役割そのものが問われている。この点について吉田氏は、AI推進の目的はあくまでも「生産性の向上」であり、人員削減ではないと話す。

 「グローバルベンダーのように人員削減をするという選択肢はない。むしろ、人手不足に対応するためのものだ」と、社会課題としての人手不足が背景にあることを明かす。AIによる業務効率化によって生まれた余力で、これまで手が回らなかった案件に対応していくことが真の狙いだ。

 その変革の核となるのは、生成AIを活用した「システム開発の高度化」である。ソースコードの自動生成などを取り入れつつも、最も重視するのは“品質”だ。特に社会インフラを支える重要システムを多く手掛ける日立にとって、信頼性の担保は何物にも代えがたい。「一般的に言われるような、AIによって開発工数をゼロにしていくような世界では決してない」と吉田氏。たとえば、AIが生成したコードに対して人間による厳格なレビューが不可欠なように、AIはあくまでアシスタントであり、最終的な品質責任は人間が負う。

提供:株式会社日立製作所
[画像クリックで拡大]

 現在、同社が取り組んでいるのは「個人のスキル」に依存しない開発体制の構築だ。誰がAIを使っても、同じ品質の成果物がアウトプットされるようなフレームワークを模索するなど、属人性を排除し、組織全体としての開発能力を底上げすることを目指している。将来的には、AIが要件定義から担うような構想も検討しつつ、大規模かつ高い信頼性が求められるエンタープライズシステムへの適用は段階的に進める方針だ。

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人とAIの共存へ 「AIに依存しない」環境で育まれる思考力

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。2025...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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