複雑化するクラウド環境がAI活用を阻む、ハイブリッド・バイ・デザインという解決策
講演の冒頭、マギー氏は「クライアントの77%が、複雑なハイブリッドクラウド環境に散在するデータの活用に困難を感じている」という調査結果を示した。特に生成AIを活用する上で、データの品質と親和性の確保は最優先課題となっている。
IBMが提唱する「ハイブリッド・バイ・デザイン」とは、単なる複数クラウドの混在状態ではない。エンドツーエンドで設計されたアーキテクチャの原則、ランディングゾーン(クラウド環境の基盤)設計、ワークロードの最適配置、データガバナンス、自動化、セキュリティとコンプライアンスを統合的に考慮した戦略的アプローチである。
バドラニー氏は「多くの企業が複数のクラウドを抱えているが、それらはつながっておらず、業務部門が個別に構築したフランケンシュタイン的な環境になっている」と指摘。IBMは、こうした状況を整理し、意図的に設計されたハイブリッド環境へと進化させる支援を行っている。
同社の戦略は、ミッションクリティカルなインフラストラクチャー、Red HatやHashiCorpを含むソフトウェアポートフォリオ、そしてコンサルティングサービスという3つのビジネスの連携で支えられている。地域展開では、日本の東京・大阪に加え、2025年にはカナダ・モントリオール、インドのチェンナイとムンバイに新リージョンを開設し、フルスタックのケイパビリティを提供する。
IBM Cloudの差別化要素として、Red Hatによるハイブリッド・クラウドネイティブ体験、Powerシステムを活用した仮想サーバー、VMwareやRed Hatを用いた仮想化基盤、そして約200社の顧客と共創した業界特化型クラウド基盤による金融、ヘルスケア、政府機関などの業界別セキュリティ、コンプライアンス、規制対応を挙げている。
AI領域では、watsonxを中心に、データプラットフォーム、自動化プラットフォーム、Red Hatによるオープンソーステクノロジーを統合。講演では、AIエージェントがオブザーバビリティデータを自動分析し、システムエラーの原因を特定して推奨事項を提示するデモが披露され、「AIがクラウド運用をどう変えるか」の具体例として注目を集めた。
