「大規模システム」開発現場のAI変革へ
日本のシステム開発は、長年にわたり構造的課題を抱えている。特にミッションクリティカルな大規模システムとなれば、多数のステークホルダーが入り乱れ、“人月商売”による多重下請け構造は生産性が向上しない開発現場、そして硬直したシステムを生んできた。1935年の創業以来、富士通も多数の巨大かつ複雑なシステムを構築しつづけてきたが、その歴史に一石を投じようとしている。
2025年4月、トップダウンによるプロジェクト「Takane-Driven Initiative」を始動させると、2026年2月にAI開発基盤「AI-Driven Software Development Platform」を発表した。富士通が提供するヘルスケア・行政向けのパッケージを対象に、TakaneやFujitsu Kozuchiなどを用いて、大規模システムの開発現場を“AIドリブン”な体制へと変えていく予定だ。
富士通Japan株式会社 特定プロジェクト対策本部 本部長/富士通株式会社 公共・社会インフラビジネスグループ 特定プロジェクト対策室 室長 國分出氏
富士通の岡田英人氏は、「ヘルスケア・行政の領域は、法改正への対応が不可欠だ。67のパッケージ製品、合計1億5000万ステップに及ぶような巨大かつ複雑なシステムを何度も変更しなければならず、自治体や病院、そしてベンダーにとっても極めて大きな負担になっている」と述べる。
これまでのAI駆動開発といえば、エンジニアに対してAIがコードを提案する支援型が主流だった。しかし、富士通が今回発表したプラットフォームでは、システムに係るドキュメントや法改正の内容を学習させれば、要件定義から設計・実装、そして結合テストまでを人間が一切介入することなく、AIエージェントがバトンをつないで完結させるというものだ。
記者向けの発表会で公開されたデモンストレーションでは、ソースコードを改修する様子が映し出された。特定の条件下では、従来3人月を要していた工数を約4時間にまで削減し、約100倍の生産性を確認できたという。
富士通Japan 國分出氏は、「単なる開発の効率化ではなく、システム改修が『AIの作業』となった」と意義を強調する。
