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シリコンバレーで『THE MODEL』福田康隆氏に聞く、米国AI最前線

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米国で進む業務へのAI導入、日本企業との違いは?

石野:米国でAIはどのように企業に導入されていっているのでしょうか? カスタマーサポートや契約書レビュー、開発におけるコーディングなどの領域においてAIサービスの普及は非常に早く進んでいると聞きます。

福田:AIエージェントに大きな期待が寄せられていますが、当面は人が定義するワークフローをどれだけ自動化できるかが短期的に効果を出せる分野です。社内業務の中で、自動化できる作業、特に繰り返しのタスクを見つけてエージェントに置き換えていくことは非常に早いペースで進んでいます。

 コーディングは、話題になりやすい分野ですが、実際にはAI導入が進むと爆発的にコードが増え、ボトルネックは後工程であるテスト、デプロイ、運用、監視のフェーズに移っていきます。

 マーケティング・営業において大量にリードが増えるのと同じようなもので、生産性を最大化するためには後工程の最適化が前工程よりも重視されるでしょう。いわゆるDevOpsの領域ですが、この認識はまだ米国と日本ではギャップがあるように感じます。

 もちろん米国市場でも課題がないわけではありません。データの整備には課題が多いという声はよく聞きます。単にデータを蓄積するだけではなく、データガバナンスの領域もAI活用を進めていく上で注目されています。またアーキテクチャと業務プロセス、会社のカルチャー変革などに同時に取り組んでいかなければなりません。Forward Deployed Engineerという職種が注目されていますが、本当の意味でその仕事ができる人を確保するのは簡単ではないでしょう。

石野:日本の企業では昨年あたりまでは「AIにまず触って慣れること」に取り組む企業が多かったように感じます。一方で米国の企業ではAIを活用した顧客体験構築に関する事例も多く目にしました。テクノロジー導入における日米企業の違いはなんでしょうか? 違いが生まれる背景としてどのようなことが考えられますか。

インタビュアーを務めたナインアウト代表取締役 石野真吾氏

福田:日本では一部のデジタルネイティブの企業以外は、まだまだSAP/Salesforce/ServiceNowなどの業務アプリケーションによるプロセスの標準化がIT部門の主要な仕事になっているケースが多いようです。それ以外の基幹システムがレガシーで保守運用をすることにリソースを取られていて新しい取り組みができないという声も聞きます。

 一方、米国企業の取り組みを聞いていると、業務アプリケーションが適用できる社内業務のプロセスとツールの標準化は当たり前のように終わっており、ITリソースも最低限で運用しています。逆に競争優位を産み出す分野については、自社のエンジニアを投入し開発スピードを上げて差別化を産み出しています。日本も少しずつ内製化へシフトする兆しは見えるものの、デジタルにより顧客体験を産み出す領域については、日本はかなり遅れていると感じています。

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競争優位の源泉へ投資を集中させる

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この記事の著者

石野 真吾(イシノ シンゴ)

ナインアウト株式会社 代表取締役 2013年、Sansan株式会社に入社し、営業・マーケティング領域の仕組みづくりに携わる。その後、Marketo/Adobeにてソリューション開発やSalesTech領域の新製品の国内展開を牽引。2019年よりSmartDrive株式会社にてCEO補佐兼CMO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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