SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

Inside AIdiver 最前線の声でAIの“今”をアップデート。

【動画】トヨタコネクティッドのAI推進、社内のリアルな反応は……失敗の先に見つけた成功の鍵

川村将太氏が「プロンプトを学んでもAIは使いこなせない」と語る理由

  • Facebook
  • X
  • note

 トヨタ関係会社であるトヨタコネクティッドで、AIトランスフォーメーションに挑んでいる川村将太氏。「今のやり方を変えられない」「新しいことをする余力がない」といった状況から、社員の8割以上が毎週AIに触れる環境へと前進させた。その裏には、数々の失敗と泥臭い取り組みがある。※YouTubeで動画でもご覧いただけます

  • Facebook
  • X
  • note

全社研修を強制的に実施 役員直下で機動性を担保

藤井(AIdiver編集部):まずはトヨタコネクティッドでの役割と参画の背景を教えてください。

川村(トヨタコネクティッド):現在、トヨタコネクティッドで主に生成AIの戦略・戦術設計と活用推進を担っています。元々は事業会社でUXデザインに携わっていました。生成AIに触れて「世の中が変わる」と感じ、当時勤めていた会社を辞めてAIと徹底的に向き合う期間を作ったのがそもそもの始まりです。

 「AIに関わる仕事をしたい」と考えていたのですが、当時はまだ生成Aが世の中に認知され始めた頃。まったく転職先がなかったですね。そこで、自分が今やっていることを伝えまくって出会いの機会につなげようと思い立ち、毎週のようにイベントで短いプレゼンテーションをしていました。それを見ていたトヨタコネクティッドの方が声をかけてくださったんです。

藤井:トヨタコネクティッドのAI推進部隊は、どのように立ち上がったのでしょうか。

川村:私は2023年11月にジョインしましたが、当時はAI関連の取り組みはほぼ行われていませんでした。しかし、ChatGPTの登場などをきっかけに、社内で「AIを使ってみたい」という声がちらほら出始めていました。それらの活動を統括して推進するため、2024年4月にAI統括部として本格的にスタートしました。

 目指すのは、セキュリティ面を含めて「守りと攻めの両方でAIを使えるような組織」。積極的かつ安心にAIを活用できる土台、たとえば人材やルール、データ基盤、開発基盤などを整えて「業務と人を変えていく」ことが最も大きなミッションです。

トヨタコネクティッド株式会社 BR AXデジタルトラスト推進部 AX推進室 Executive AI Director 川村将太氏
トヨタコネクティッド株式会社 BR AXデジタルトラスト推進部 AX推進室 Executive AI Director 川村将太氏

藤井:「AIを使ってみたい」との声があったそうですが、当初よりAIに対して興味を持っている社員の方が多かったのでしょうか。

川村:いえ、先行的な研究を行っている部署など、実際にはごく限られた社員が声を上げていました。全社的には「AIとは何?」という人のほうが多かったです。そのため、まずは人が変わっていかなければならないと思いましたね。

 たとえば、当社は自動車のコールセンターを保有していたり、テレマティクス技術を用いた複数のアプリを展開したりしていますが、将来的にAI機能を組み込もうとした際、AIを触ったこともない人がいきなりチャレンジするのは難しいでしょう。

 こうした状況から、AI統括部の立ち上げと同時に行ったのが「全社研修を強制的に行う」ことでした。他社の話を聞くとテスト的に一部署から始めるケースもあるようですが、当社は「全員がまずは触る。そして使えるようになる」というコンセプトで、研修内容を内製で作り上げました。

クリックすると拡大します

藤井:全社的な取り組みだと、経営層の理解も必要ですよね。役員の方々はAI導入に積極的だったのですか。

川村:そうですね。中には「これからAIをどんどん活用したい」と思ってくださっている役員の方もいました。AI統括部はその方の直下に配置を希望して実現し、意思決定の速さ、機動性を担保できたのも大きかったかもしれません。

次のページ
日系企業ならではのハードル 解決の鍵は「外部からの圧力」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
Inside AIdiver 最前線の声でAIの“今”をアップデート。連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/200 2025/12/18 12:00

広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

アクセスランキング

アクセスランキング

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング