音声対話AIスタートアップVerbexが、本格的な事業展開の開始を発表した。バングラデシュ、日本、インド、シンガポールを拠点に国際ハイブリッドチームで事業を進め、特に日本市場を中心に「Voice UI(音声インターフェース)」の社会実装を加速させるとしている。

Verbexは、「声で世界をつなぐ」をミッションとして、独自の音声対話技術を研究開発しているAIスタートアップ。STT(Speech to Text)/TTS(Text to Speech)/LLM(Large Language Model)/Speech Engineなど音声対話に必要な機能やデータのトレーニングメソッドを独自研究開発し、自然かつ低遅延な対話を実現するため音声AIプラットフォームを提供している。
経営メンバーはバングラデシュと日本のシリアルアントレプレナーがチームを組んでおり、国際ハイブリッドなスタートアップとして、アジア・日本発の音声AIの実用化を推進している。既に日本を含む25カ国で56件の特許を保有し、独自技術の研究開発を進めながら、グローバルな事業展開を見据えて活動してきた。
Verbexの目指す「VUI」(Voice User Interface)とは
Verbexは、「声をインターフェースにする社会」の実現を目指して研究開発を進めてきた。キーボードやタッチ操作、テキストによるインターフェースでは解決できなかった様々な課題を解決する手段として、また、これから訪れる新たな未来を見据えて、誰もが声でコンピュータを操作できる世界を目指している。

VUIが実現する社会的意義には、次のようなものがある。
- デジタルデバイドの解消:高齢者やITリテラシーの差を超えて、誰でも直感的にコンピュータを操作可能にする
- アクセシビリティの向上:視覚障害者や手の離せない現場でも情報アクセスを容易にする
- 新しい顧客体験の創出:より自然で人間的なAI対話コミュニケーションによる心地よいサービス体験を創出する
- 労働力不足社会へのソリューション:対話AIが人手を補完し、人口減少社会でも持続可能な事業運営を支援する
コールセンター向けソリューションから本格事業展開を開始

Verbexの独自音声対話AI技術を活用した事業展開の第一歩として、コールセンター向けソリューションを本格展開するという。特に、日本市場において人手不足が深刻化するコールセンター現場で、AIオペレーターが自然な日本語、自由対話を実現し、深夜対応、カスハラ対策、採用難、顧客体験の向上といった課題の解決を目指す。特に日本市場は「おもてなし」文化に根付く高い対話品質が求められる市場であり、Verbexは「技術が最も力を発揮する領域」としている。
コールセンターにおける実証実験は、バングラデシュ暫定政府のヘルプライン「333」において先行して進めてきており、次のような成果が出ている。
- AIによる自動応答のうち、人間の介入なしで完全解決された通話80%
- 待ち時間90%削減
同社は、この成果をもとに日本国内でも複数の企業とPoCを進めており、本格展開に向けた地盤を固めてきた。
日本語モデルのリリースを商用利用の事例
ベンガル語、英語で先行して研究開発を進めてきたVerbexは、2025年8月に日本語モデルをリリース。これにより、自然な日本語対話を実現し、日本市場における実用フェーズへと進化した。既に株式会社イチネンにおいて、点検管理部門での電話対応業務にVerbexを導入、商用利用が開始されている。「点検済み・未請求確認」などの日次電話業務と、その内容を自動でExcelに転記する一連の業務をAIオペレーターが実行している。
ほかにも、次のような用途でPoCや導入検討が進行中だという。
- メーカーのFAQ対応
- 通販事業での受注
- 葬儀業の深夜受付
- 電力会社の電気の開始・停止受付
- タクシーの配車受付
- 採用応募者との面接設定
- 営業アウトバウンド
今後の展開

Verbexは、独自開発の音声対話AI技術を活用した「声をインターフェース」としたさまざまな事業を展開していく。想定されるユースケースは多岐にわたり、現在多様な企業から人的リソースの最適化、ビジネス成長を促す音声AI活用といった相談がなされている。これにより、サービス開発・PoCも進行中とのことだ。
- ホテルのフロント受付
- 駅の券売機や交通案内、観光案内
- 医療・介護分野での相談支援や高齢者の見守り
- 音声ゲームや音声対話を活用したエンターテインメント体験
なお、同社はさまざまな分野で「声をインターフェース」にした新しい事業をともに推進するパートナー企業を積極的に募集している。
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