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ファミマ・DeNAらが語った、全社的なAI活用が避けられない理由 トップリーダーたちは何を目指すのか

「AI Innovators Forum 2025」で見えたAI時代に勝つ企業の共通項

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人類史の中でAIを「正解」に──挑戦と失敗のスピードを上げる

 AI時代の企業経営において、重要な要素の一つが人材だ。DeNAの岡村氏は「必ずしもAIのプロフェッショナルだけを採用するわけではない」と明言する。AIを起点に事業を創造できる人材を求めているという。

「我々はインターネットと一緒に生きてきました。そのレベルで、AIを使うようになっていくはずです。新しい人材だけでなく、既存人材にもAIを軸に考えてほしいと思っています」(岡村氏)

 一方で、AI前提の新規事業をコアビジネスにまで成長させるのは容易ではない。平手氏はこれを乗り越えるための仕掛けを3つ共有した。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 Google Cloud VP 兼 エグゼクティブ アドバイザー 平手智行氏
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 Google Cloud VP 兼 エグゼクティブ アドバイザー 平手智行氏

ビジネス・データ・技術を統合した意思決定レイヤーを明確にする

 「顧客への提供価値」「データの質とガバナンス」「技術的な実現性」の3要素がそろって初めてAI事業は成り立つ。これらが縦割りになると責任の押し付け合いになってしまう。組織の垣根を越えたコラボレーションと、迅速な意思決定を行うレイヤーを明確にすることが重要。

AI推進部門が事業部門のパートナーになる

 AI推進部門が単なるツール導入部隊になっていないかを問い直す必要がある。事業部門から持ち込まれたアイデアを、いかに早くビジネスとして設計し、PoCを単なる実験から事業へ引き上げるか、というビジネスオーナーシップを持つ。

失敗を共有する文化を醸成する

 特に新規事業は、成功が約束されていない。頑張っても失敗することはあるが、その「なぜ失敗したのか」という知見を貴重な資産と捉え、全社的に公開し共有する。失敗例の共有は当事者からすると心理的ハードルが高いが、この風土をリーダー層がつくらなければ、次に別の部門がAI活用にチャレンジする際のスタート地点が変わらない。

「部門の垣根を越えて進める姿勢が見えなければ、現場は動きません。私は、さまざまな企業を支援する中で失敗例も多く見てきました。その中での学びは、チャレンジし、前を向いて転ぶならOKという雰囲気をつくるのが、トップの役割だということです」(平手氏)

 こうした役割が求められるAI時代のリーダーたちに向けて、最後に二人はアドバイスを送った。平手氏は、AIの知識習得に時間を取られすぎるのではなく、「業務で学んだ知恵の具現化に注力すべき」と提言する。毎日のように新しい技術が生まれるAI。独自のモデルをつくる余裕がない企業は、標準化されたマネージドプラットフォームを積極的に活用すべきだという。

「結果的に生まれたリソースを、事業部門とIT部門をつなぐ人材の育成に投資します。AI事業には、技術・データ・ビジネスを総合的に見られる人が必要だからです」(平手氏)

 岡村氏は「AIから目を背ける人もいるかもしれないが、人類はもうAI時代に足を踏み入れた」と強調。「必ず成功させなければという責務を感じる」と、トップリーダーとしての信念を語った。

「1分1秒でも変化している、非常に重要な時期に我々はいます。人類史的な観点でAIを“正解”にしていきたいのです」(岡村氏)

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/145 2025/11/12 08:00

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