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自動運転からヒューマノイドへ、「フィジカルAI」のセキュリティリスクが拡大する理由──VicOne CEOに聞く

VicOne CEOMax Cheng(マックス・チェン)氏 インタビュー

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残された課題:技術だけでは解決できない複雑性

写真 VicOne 最高経営責任者(CEO)、マックス・チェン氏

 ただし、フィジカルAIのセキュリティ確保には、技術的ソリューションだけでは解決できない課題も多い。

 攻撃手法の進化への対応は、業界全体が直面する難題だ。AIの判断を騙す敵対的攻撃の研究は日々進化しており、防御側と攻撃側のイタチごっこが続く可能性が高い。リアルタイム検知の精度を上げれば処理遅延が発生し、ロボットの動作に支障をきたす恐れもある。このトレードオフをどう解決するかは、まだ明確な答えが出ていない。

 コストの問題も無視できない。高度なセキュリティ対策の導入は、特に中小のロボットメーカーにとって大きな負担となる。セキュリティが不十分な製品が市場に出回れば、業界全体の信頼性が損なわれかねない。

 業界標準の不在も大きな課題だ。フィジカルAIセキュリティは新興分野であり、統一的な評価基準や認証制度がまだ確立されていない。各社が独自のアプローチを取る現状では、相互運用性や第三者による検証が困難だ。

 チェン氏は、LAB R7の使命をこう総括する。「私たちは、このフィジカルAIという新しい世界において、信頼できるインテリジェンスを提供することを使命としています」。VicOneは、トレンドマイクロの子会社として30年以上にわたって培われたサイバーセキュリティ技術をベースに、自動車サイバーセキュリティの実績を積み重ねてきた。その知見をロボティクスへと展開する取り組みは、業界の一つのアプローチとして注目される。

 しかし、フィジカルAIの安全性確保は一社だけで完結するものではない。ロボットメーカー、AIモデル開発者、セキュリティ企業、規制当局、そして学術界が協力し、業界横断的なエコシステムを構築することが不可欠だ。オープンソースコミュニティとの連携や、脆弱性情報の共有体制の整備も求められる。

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この記事の著者

京部康男(AIdiver編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineとAIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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