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【動画】中間層は消える? 経営学者・入山教授が語るAIが奪えないビジネス 今始めるべき“移行”とは

今だから学び直したい経営理論 ~前編~

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 多くの読者が、AIによる働き方の変化を強く実感しているはずだ。自分の仕事がなくなるかもしれない。そんな話題が、大手企業の人員削減ニュースとともに現実味を帯び始めている。今回の取材では、経営学者である入山章栄氏に、AIが日本のビジネスにどのような影響をもたらすのかを詳しく聞いた。同氏による2026年以降の未来予測を、前編・後編にわたってお届けする。 ※YouTube動画でもご覧いただけます

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AI時代に「理論」が必要な理由 世の中を見通す力のつけ方

栗原(Biz/Zine編集部):まずは自己紹介をお願いします。

入山章栄氏(以下、敬称略):早稲田大学ビジネススクールで教授をしています。経営学者として教育や研究を行う傍ら、様々な企業のアドバイザーなども務めています。今、AIによって日本の経営がどのような状況となっているのか。こういった領域においては、かなり解像度が高い人間だと思います。

栗原:AIが浸透していく中で、企業経営はどう変容しているのですか。

入山:私は2019年に『世界標準の経営理論』(ダイヤモンド社)を出版しました。非常に分厚い本にもかかわらず、今では15万部超えのベストセラーです。これは過去に『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』で連載していた内容を再編集して書籍化したものですが、実は改訂版を出すために2025年の春から同紙で連載を再開しています。

 復活連載の第1回で書いたのが「AI時代こそ、世界標準の経営理論である」ということでした。これから答えがあることは全部AIがやります。そのため、人間がやることは答えがない領域で意思決定をすることでしょう。誰も正解を知らないため、自分で考えるしかないわけです。そのときに「理論」は必ずしも正解ではないものの、物事を整理する思考の軸として非常に役立ちます。実際、『世界標準の経営理論』の本質はAI時代でもまったく変わっていません。『世界標準の経営理論』によって、これから世の中がどうなるのかをある程度見通せるのです。

 世の中には「現象」があります。AIも一つの現象です。この現象起点で考えていると、それに追いつくだけで疲弊して、受け身になってしまいます。いわゆる「演繹」で、理論的に「組織や人間の本質とはなんだろう」という方向から考え、「であればAI時代にはこういう未来があるのではないか」と、自分で能動的に予見する力をつけること。それが人間にとっては重要になります。

栗原:そもそも『世界標準の経営理論』を改訂しようと思ったきっかけは、なんだったのですか。

入山:今思えばもっと盛り込みたい要素があった点が1つ。もう1つは、実は世界で売ってみたいと思ったから。最後に、時代が変わるとより大事な視点が見えてくると考えたからです。たとえば、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』の2026年2月号で私が取り上げたのは「直感の理論」でした。AI時代、人間に必要な能力は間違いなく直感です。直感力を鍛えなければならない。そこで、神経科学の分野で研究成果が出ていて、一部は経営学にも応用されている「直感の理論」を紹介したのです。

栗原:同様に、AIと経営学において改めて注目度が高まっている理論はありますか。

入山:最近、周りの起業家や経営者たちとよく議論しているのは、経営学者・野中郁次郎氏が提唱された「知識創造理論」です。これは「暗黙知」を「形式知」化するというもの。文字や言葉のような形式知は、実は人間の感覚や感性や考えていることのごく一部にすぎません。ほとんどは、身体知も含めて言葉になっていないわけです。人間は暗黙知のほうがはるかに豊かだといえます。

 野中氏の考え方では、人と人が1対1で向き合うと、そこに共感性が生まれる。共感性は暗黙知と暗黙知です。それがなんらかの理由で形式知化され、新しい言葉が紡がれることによって、イノベーションが生まれるのです。私がAIの専門家と話していると、結局人間に重要なのは身体性だという結論に行きつきます。これも暗黙知です。そのため私は、AI時代こそ「知識創造理論」がもっと応用されるべきではないかと考えています。

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2026年、本格的に人が不要となる? 世界的な潮流は

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/338 2026/02/27 09:00

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