2026年、本格的に人が不要となる? 世界的な潮流は
入山:2026年、間違いなくブレイクするのは「プライベートAI」です。一般的に使われているChatGPTなどは、どちらかというと「パブリックAI」。つまり、インターネット上に既に存在するありとあらゆるデータを学習しているわけです。しかし、多くのデータはまだ会社の中に残されているといわれています。ただ積み上がったファイルなどが、社内にたくさんありますよね。それらを他社がアクセスできない形ですべて学習させたものが、プライベートAIです。
ご存じかもしれませんが、今AIの世界における大きな課題は「コンテキスト(文脈)」なんです。このコンテキストまで読めるようになると、もう一段階AIは大きな変化をもたらすのではないでしょうか。
栗原:AIと企業経営の掛け合わせによって、主に何が変わると思われますか。
入山:1番は非常にシンプルで「人」が不要となります。2026年、私は間違いなく大リストラの年だと思っています。実際、2025年にMicrosoftはアメリカ本社で約1万人の従業員を削減していますよね。マッキンゼー・アンド・カンパニーもバックオフィス部門を中心に人員をかなり削減する方針です。日本でも大企業で同じような動きが見られます。
特に、コンテキストを読む必要がない、いわゆる定型業務はもうAIが代替できてしまう。日本で確実に人数が減っているのは法務です。高いレベルでリーガルアドバイスができるトップ弁護士は残る一方で、定型業務はほぼAIが行っていくでしょう。
さらに、私が特にAIの影響をこれから受けると予測しているのが監査法人です。監査法人は各社のコスト要因となっています。ほとんどは一人何時間稼働したかで料金が発生していますが、業務の多くは資料作成や書類整理などであり、AIができる領域なのです。とはいえ、監査法人がいきなり人件費を削減することは難しい。おそらく数年以内に、破壊的に安価、かつほとんどAIで対応する企業が生まれると思います。
コンサルティング業にも同じことがいえます。私たちが求めているのは、資料の作成ではなく、トップコンサルタントが提供してくれるインサイトではないでしょうか。そのため私は、今後トップコンサルタントは独立すると予測しています。そして価格も今までより安価になる。組織の在り方が大きく変わってきています。
日本でも「Aiロボティクス」という企業があり、2026年に売上が300億円近くになるといわれています。同社の従業員は約30名です。つまり、一人あたりの売上は10億円となります。また、私の知人の投資家にアプローチしてきたスタートアップ企業は、社長と社員1人。残りはすべてAIエージェントです。
これから、最初からAI前提の「アフターAI企業」が生まれてきます。そうすると「ビフォアAI」では太刀打ちできません。言い換えると、個人のアイデア次第で“起業がしまくれる”時代になるのです。
