経営者の“人格”と“透明性”が重要 参考はあのタレント……
入山:問題は、変革できるかどうかですよね。たとえば、私が非常に期待している企業の一つがDMG森精機です。同社は森雅彦社長が経営者として素晴らしい。同社のように、変化が激しい時代だからこそ、経営者はあえて長期的な思考で「うちはこの方法でやっていく」と決めてどんどんチャレンジする姿勢がより重要となります。
まさに「センスメイキング理論」です。センスメイキングとは、中長期の未来に向けた「腹落ち」を意味します。腹落ちするから知の探索が続けられるんです。知の探索が続けられるから、徐々に暗黙知も形式知も豊かになっていく。そして、その腹落ちした未来を言語化できるのです。そうすると腹落ちがさらに進むため、知の探索がまた続けられる。このサイクルを回していかなければなりません。
ところが、日本企業はなぜか「社長の任期制」を設けている。腹落ちして会社全体を変革するのは4年や6年では無理でしょう。まず任期制を廃止すべきです。本当に良い社長であればずっとやり続ければ良いのです。ダイキン工業で社長・会長を務めた井上礼之氏も、ファーストリテイリング 会長 兼 社長の柳井正氏も、ソフトバンクグループ 会長 兼 社長の孫正義氏も、ずっとトップを走られている。だから世界的な企業になるのです。
これに対して「独裁化するのではないか」という人もいます。だからこそのコーポレートガバナンスではないでしょうか。特に重要なのが社外取締役です。社外取締役は、良い経営者は応援すれば良いですし、だめだと思ったら解雇する必要がある。しかし、人を見る目がない、人を切る胆力がない、外から人を連れてくる人脈もない人が、日本の社外取締役には多いわけです。
もう一つ、AI時代の企業に非常に重要なのが透明性だといえます。なぜなら、人格が大事な時代だからです。パブリックAIは幅広く情報を手に入れられるため、AIを使えば使うほど誰でも同じことがいえるようになります。私が今話していることも、大学生が話せるようになるかもしれません。それでも、視聴者の方の中で「入山先生が言うなら」と思ってくださる方が1人でもいるならありがたいことですよね。その方が私の人格を信頼してくださっている。
これからは人格の時代です。企業も同じ。だからコーポレートブランディングがとても大切になってきます。その信頼性を上げるために必要なのが透明性なのです。なんでもバレる時代だから。
今まで、権威性は隠すことで生まれていたのだと思います。しかし、現在はSNSなどを通じてすべてバレてしまう。そして、バレても謝らない人は消えていくのです。企業の社長や役員にも同じことがいえます。社長も役員も失敗はしますし、むしろリスクを取るためにしなければならない。それを隠さないことが非常に重要です。
いろんな企業の方に伝えているのですが、日本で1番参考にすべき人がいます。実はタレントの狩野英孝さんなんです。1度失敗したけれどすぐ謝りました。その会見を見て、多くの日本人が「悪い人ではなさそうだ」と思ったのではないでしょうか。実際に芸能界に復帰しています。とにかくAI時代は狩野英孝さんなんです。名前を出すだけでクスっと笑ってしまう。そんなタレントの方、ほかにいるでしょうか。意外と世間は気づいていませんが、これはすごいブランドです。
栗原:誰でも失敗はするので、そこでクリアにして、悪かったら謝ること。加えてチャーミングさも大切ですね。
入山:そうです。皆さん、悪いことはバレます。失敗したら謝りましょう。
