LPの制作/改善業務に立ちはだかる二つの壁
──御社では早くから生成AIを取り入れ、クライアントの広告運用支援業務を高度化されている印象です。具体的にどのような取り組みを行ってきたか、お話しいただけますか?
好村:2022年にグループ横断組織を発足し「Creative Intelligence(クリエイティブインテリジェンス)」というテーマの下、東京大学AIセンターとともに研究を進めてきました。
業界歴は10年以上。事業会社からコンサル、サービス開発からグロースハックまで幅広く手がけ、のべ100社以上のプロジェクトを経験。現在はAdsテック事業部にて広告部門の効果・成長支援を目的としたAIプロダクト開発に従事
好村:研究の目的は、テクノロジーによってクリエイティブの創造性を拡張/変革したり、データとテクノロジーでクリエイティブの効果を高めたりすることにあります。このプロジェクトの一環で2022年12月に生まれたソリューションが「∞AI Ads(ムゲンエーアイ アズ)」です。
好村:「訴求軸発見AI」「自動クリエイティブ生成AI」「効果予測AI」「改善サジェストAI」の四つで構成された∞AI Adsを用いることにより、当社のプランナーがバナー広告や検索連動型広告の制作から改善までのサイクルをワンストップで行えるようになりました。
──「∞AI Ads」で広告クリエイティブの制作や運用が劇的に変化したということですね。“入口”としての広告が進化する一方、その“受け皿”となるLPが最適化されなければ、最終的な成果は出ませんよね。
好村:おっしゃるとおり、広告成果向上の鍵を握るのがLPですが、その制作業務には大きく二つの壁があると考えています。第一の壁は「制作工程の複雑さ」です。LPの目的やターゲットを含む要件定義から始まり、LPの方向性を固めてページの構成・構造を設計します。その上でデザインやコーディング、コンテンツの拡充なども発生するため、バナーの制作などに比べるとステップの多さは一目瞭然です。
第二の壁は「担当者に求められる専門性」です。LPに訪れるユーザー像を分析する力や、ユーザー像から最適なLPを企画する力のほか、コピーライティングやレイアウトの能力も要します。制作したLPを改善するにあたっても、仮説の立案と検証、検証後の意思決定などには高い専門性が不可欠です。高度な業務ゆえ、担当者のスキルにバラつきが生じやすいと言えます。
「表示速度」「ファーストビュー」「導線」に着目せよ
好村:また、ユーザーニーズの多様化やトレンドの移り変わりの速さも、LPの最適化が後回しにされがちな要因と言えます。LPの制作は時間を要するため、企画したLPが完成する頃にはニーズやトレンドが移り変わっており、陳腐化してしまうケースがあるのです。「苦労して制作・最適化した割に、得られるリターンが少ない」という印象から、後手に回ってしまうのでしょう。
──LPの制作/改善には、バナー広告のそれよりも高いハードルがあるのですね。そんな中、数多くのクライアントのLPO(LP最適化)を支援してきた御社が考える、改善のポイントがあれば教えてください。
好村:ポイントは三つあります。第一のポイントは「表示速度」です。広告のクリック数が1,000や10,000だったとしても、LPが表示されるまでにラグがあると、ユーザーは離脱してしまいます。そのため、一見広告がクリックされていても「見込み顧客を連れてこられていないのでは?」と疑うことが大切です。
第二のポイントは「ファーストビュー」です。LPを制作する際は、コンテンツのレイアウトなど作り込みの部分にフォーカスしがちですが、重要なのはユーザーが最も多いファーストビューです。LPを訪れたユーザーに「見てみよう」と思わせるきっかけを作るためにも、まずはファーストビューにメスを入れましょう。
第三のポイントは「導線」です。ファーストビューを訪れたユーザーの回遊を促すべきなのか、それともコンテンツまでスクロールしているユーザーを商品詳細ページまで導くべきなのか。自社の状況や目的に応じた導線を用意すると、LPは良くなっていきます。
板野:クライアントが重視する点と、実際に効果が出る点は異なると感じています。私自身、新人時代は優先度を見誤ってしまったこともあります。自社の思いを伝えることはもちろん大事ですが、やるべきことを見極めて提案するのが我々支援会社のミッションです。
新卒で電通デジタルへ入社後、CRO・LPOコンサルタントとして6年従事。通信・人材・金融・自動車など多業種で、戦略設計からデータ分析、ABテスト、ページ制作進行まで一気通貫で推進。現在は∞AI LPのプロダクトリーダーとして社内独自フレームの評価設計やプロンプト最適化を担い、LPの成果最大化に資する品質向上・機能開発を推進
最短10分で改善案を9案出せる
──御社では2025年3月に「∞AI LP(ムゲンエーアイ エルピー)」を開発されたそうですね。同ソリューションについて教えてください。
板野:∞AI LPは、LPの分析から制作までをAIによって自動で回せるようにしたソリューションです。先ほどポイントとして挙げた表示速度を含め、クライアントのLPの状態を可視化したり、クライアントのLPが競合のLPでどの立ち位置にあるのか分析したり、その分析結果を基に改善案を出したりできます。人の場合は1~3案が平均的ですが、∞AI LPなら最大9案出すことが可能です。
板野:さらに、独自モデルによって改善案の勝敗を予測する機能もあります。勝つと予測された案をピックアップしてコーディングを行い、ユーザーの反応を見てさらに改善する。∞AI LPは、このようなPDCAを高速で回せるようにします。
勝ちパターンを再現するだけではうまくいかない
──AIを活用したLP制作ツールは他社からも出ていますが、∞AI LPの特徴はどのような点にありますか?
板野:豊富なスキルセットを備えたトッププランナーのノウハウを再現している点です。たとえば「緑色のボタンはクリック率が高いから、ボタンを緑色にしましょう」という提案は、その知識さえあれば誰でもできます。クライアントの状況や顧客像などを考慮した上で、あるべきLPを探るのが電通デジタルのやり方です。そこを∞AI LPで再現しています。
好村:クライアントが望む形を無視して、勝ちパターンという“型”にはめて作ったLPでは、経験上うまくいかないんですよ。今あるLPをベースにしつつ、良い点と悪い点を洗い出し、競合のLPと並べたときの見え方を可視化してからご提案しなければ、クライアントも納得感が得られません。∞AI LPで納得感を醸成するための分析を行いつつ、プランナーがクライアントと目線を揃えながら合意形成に臨むことにより、AIだけで完結させないよう意識しています。
板野:ちなみに∞AI LPの競合分析機能は、私が入社二年目の頃に作成したフレームワークがベースになっています。当時「経験の浅い私でもクライアントに納得してもらえるLP改善案を提示したい」という思いが強くありました。そこで、クライアントのLPが競合のLPと比較して良いか/課題があるかを評価できる項目を、既存のフレームワークや先輩の経験則から独自に体系化したんです。そのフレームワークがクライアントからも好評で、社内のプランナーにも横展開していたため、∞AI LPの開発にあたって学習させました。
好村:競合分析の機能だけで、既に200社のクライアントで提供されているんです。分析したURL数は1,000を超えています。それくらい使いやすい機能だということです。
CVRの改善率は163%!ポイントは競合の定義
──「∞AI LP」のテスト導入では高い効果が見られたとのことですが、具体的な事例を紹介いただけますか?
板野:リリースから約9ヵ月が経ち、おかげさまで150を超えるお問い合わせをいただいています。その中から20社以上のクライアントで既に導入させていただいているのですが、CVRを大幅に改善した事例がいくつか出てきました。

板野:たとえばA社では、LPの購入導線に課題を抱えていらっしゃいました。LPを訪れた方にコンテンツを読み込んでもらった上で購入を促したい思いが強く、よく言えば親切なLPではあったんです。しかし、類似の商品を扱う競合も同様のLP構成を採用していたことから「コンテンツの情報量が多い」「購入ページへの誘導が埋もれてしまっている」など、業界共通の課題が見逃されていました。
ところが、類似する他の業界まで∞AI LPで比較する対象を広げたところ、ようやくこの課題が顕在化しました。その後、LPのファーストビューに購入ページへの誘導を追加し、豊富に掲載していたコンテンツをユーザーが知りたいポイントに基づいて絞った結果、CVRの改善率が163%に達しました。
またB社では、∞AI LPでクリエイティブの案を100通り作成し、勝率予測機能を用いて絞り込んだ上位の案をABテストで検証したところ、オリジナルのLPに対して8割の案が勝ちました。ABテストの一般的な勝率は3割程度ですので、特筆すべき結果だと言えます。CVRの改善率も151%を示した好事例です。
AI時代に意味のある量産を
好村:実は今、板野が話している十数分の間に∞AI LPで『MarkeZine』のLPを分析してモックアップを作成してみました。従来はこれを作るのも一苦労だったんです。パワーポイントでワイヤーフレームを作るくらいが精一杯で、それにも数日を要していましたが、∞AI LPならこの完成度のモックアップを十数分で複数案出力できます。
好村:このモックアップをお見せしながら「どのLPがお好きですか?」「この案のどこが気になりますか?」とヒアリングすれば、ブラッシュアップが打ち合わせの場で完了します。モックアップのために生成した画像やソースコードはダウンロードできるため、GOサインが出た案をテストページですぐに実装することが可能です。
──最後に、∞AI LPにおける展望と、LP改善に課題を抱える読者に向けたメッセージをお願いします。
板野:∞AI LPによって、電通グループのノウハウを踏まえた量産・評価・予測が自動化されました。その分、我々プランナーが仮説の立案や良し悪しの判断に集中できるようになり、より多くのクライアントでLPの最適化を支援できると確信しています。
LPの改善に着手したいと思いつつ、忙しさやデータの少なさから二の足を踏んでいるご担当者は数多くいらっしゃいます。この記事を通じて、∞AI LPなら短い時間でアウトプットが出せることを知っていただき、我々にお声がけいただければと思います。
好村:今後もAIの活用は広がり、LPの制作/改善においても量産がますます求められるはずです。そうなると、次に起こるのは量産疲れです。量産のためのソリューションを導入したものの「結局どれが良いんだっけ」となり、無意味な量産になりかねません。

好村:∞AI LPでも量産は可能ですが、我々プランナーのノウハウや思考プロセス学習させた上で、多種多様なユーザーにマッチするバリエーションを出しながら“意味のある量産”を実現したいと考えています。
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