まだ「AI活用率」に縛られている? これからのKPIは“深さ”
藤井(AIdiver編集部):今回のテーマは「2026年は脱AI活用率、生成AI導入後の真のKPIとは」です。本題に入る前に、まず今までのAIブームをどう見られていますか。
小澤健祐氏(以下、小澤):AIという言葉は1956年から使われているわけですが、ここまで注目を浴びるのは初めてかもしれません。以前は技術開発や研究の対象でしたが、今や誰でも気軽にAIを使うことができます。
藤井:その流れもあってか「AI活用率」を公表している企業も多いですよね。
小澤:そうですね。多くの日本企業は、このAI活用率を上げようとしています。しかし、注意しなければならない点が2つあります。1つ目が「こんにちは」とAIに話しかけるだけでも、活用といえてしまうこと。次に、AI活用率100%が正しいわけではないこと。
たとえば、工場現場の人がChatGPTを使う機会はあまりありませんよね。また、AIの活用に関して「プロンプトを書く」というニュアンスで広く浸透している側面があります。実際にはそれだけではなく、活用の“深さ”もしっかりと測っていかなければ、本質的ではありません。
そもそも、私はAIとパソコンが一緒だと思っています。パソコンの「活用率」なんて考えたことありますか? パソコンをさまざまな業務で使うからこそ、測る必要がなくなっているのです。AIもまったく同じ状況になるでしょう。
AIは既に多様な業務のベースとなっているわけです。今はアイデア出しやメールの返信、カレンダーの調整など広く細々した業務にも使えます。そうなると、もはや活用率を気にしてもしょうがない。もうパソコンと同じような位置付けになっているのではないでしょうか。
藤井:とはいえ、AI活用の状況を測る術を探しているのが日本企業の現状にも感じます。新たな評価基準はありますか。
小澤:私が重要視しているのは「定点観測」です。特定の業務を切り出して効率がどう変わったのかを見ていく。そうはいっても、会議の要約などではなくもっと業務に近い領域です。営業であれば、顧客に提案する営業資料の作成かもしれません。マーケティングなら、広告の文言作成などでしょう。ただし、だんだんと「その業務にだけAIを使えばいい」と考えてしまいがちなので、あくまでも“観測地点”と捉えて執着しすぎないほうがいいです。
