AIで格差はさらに広がる…… 非正規雇用が多い女性の悩み
藤井(AIdiver編集部):今回のテーマは「私たちはなぜ不安なのか。AIを変える女性のキャリアと働き方」です。まずは本題に入る前に自己紹介をいただけますか。
シンシアリー 秋元かおる氏(以下、秋元):今は、エンタープライズ企業のAI活用推進を上流から現場まで支援しています。一方で、これまでを振り返ると実は私自身も今日のテーマである女性のキャリアの悩みを経験してきました。妊娠をして退職せざるを得なかったこと、また、夫のブラジル駐在への帯同で日本を離れていた時期もありました。そこからリスキリングを経て、今の働き方にたどり着きました。そんな経験も踏まえてお話しできればと思っています。
藤井:今や毎日のように「AI」という言葉を聞きます。便利な一方で仕事が奪われるかもしれないなど不安と期待が入り混じっているように感じるのですが、女性にフォーカスすると特に何が課題なのでしょうか。
秋元:今の仕事がなくなってしまうかもしれない、なくならずとも単価が下がってしまうかもしれないという不安はあるでしょう。私も以前はITコンサルティングとウェブ開発の仕事をしていましたが、AIの登場でウェブ開発の仕事の単価は下がっていくだろうと実感しました。ITコンサルティングにしても、ある程度はクライアント自身がAIで解決できてしまう。私もAIを味方につけなければ自分の市場価値が大きく下がってしまうと危機感を覚えましたね。
もう一つ母親視点では、子どもがAIネイティブに育つ中で、自分で考える力を捨ててしまわないかという心配があります。加えて、フェイクニュースが巧妙化しているため、情報リテラシーを親子でどう育んでいくのかも、不安の一つではないでしょうか。
藤井:キャリアの面では、それこそ「AI失業」という言葉も生まれています。労働面で格差が広がっていくと予測されていますが、この流れをどう捉えていますか。
秋元:元々、非正規雇用における女性の割合は約7割。男性に比べて圧倒的に多いです。ただし、これまで非正規雇用の女性の人数は増え続けているにもかかわらず、割合が変わっていません。つまり、非正規雇用の男性も増えている状況なのです。
正規雇用者に比べると、非正規雇用者は社内のAI研修を受けるチャンスに恵まれていない。その上、ツールへのアクセス自体が不可の場合も少なくありません。特に女性、かつ子どものいる家庭だと、仮にAI研修に参加する資格はあっても、時短勤務のために時間をねん出できないことも。結果的に、実務の中でAIを活用できる人とできない人で生み出せる成果に格差が生まれるのです。
藤井:AIがきっかけで、今までもあった格差がさらに広がってしまう。
秋元:そうですね。特に事務職はAIエージェントが業務を代行できるようになると、そもそも仕事がなくなる可能性もある。今事務職として働いている人がAIツールへアクセスできないと、変化に出遅れてしまいます。
