日立製作所と中国銀行は、融資業務におけるAIエージェント活用の協創を開始したと発表した。これまで人手に頼っていた融資業務プロセスの自律化を目的とし、業務負荷の軽減や業務品質の標準化、そして顧客とのコミュニケーション強化を目指す。

従来、金融機関の融資業務では専門的な知識やノウハウが必要とされ、申込から契約、モニタリングに至る各プロセスで人手による判断や作業が中心となっていた。人手による業務は、負荷の増大や品質ばらつき、属人化といった課題が顕在化しており、効率化が求められてきた。中国銀行と日立は、こうした背景を受け、2023年7月から「融資DXサービス」を導入し、業務デジタル化に取り組んできた。
今回の協創ではAIエージェントを、(1)申込・稟議における意見作成、(2)契約・実行時の事務作業、(3)モニタリング時の財務分析の3業務プロセスに適用。担当者の経験や知識に依存していた意見書作成をAIで自律化することで、検討漏れの防止や標準化、作業時間の削減を進める。また、AIが生成した文章案や思考プロセスを可視化し、人材育成やノウハウ承継にも活用する。
プロジェクトチームを両社で編成し検証を進めているが、これにより試算で年間1万時間以上の業務時間削減が可能とみられている。さらに、創出された人材リソースは顧客対応や提案活動に振り分けることで、金融サービスの質向上も狙う。
AIエージェントは行内システムの構造化データだけでなく、稟議の添付資料やマニュアルなど非構造化データも活用し、精度と品質の向上を目指している。また、業務統括エージェントの下に複数の実務エージェントを組み合わせ、多岐にわたる業務の自律化・連携も実現する計画だ。

将来的にはAIエージェントの強化により自律化対象領域を拡大し、たとえば事前準備作業や渉外記録からの稟議書案作成も段階的に検証していく。日立はこれらAIエージェント機能を2026年4月より「融資DXサービス」へ追加し、他の金融機関向けにも順次提供を開始する予定である。
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