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「AIに仕事を奪われる」は思考停止。音部大輔が語る、AIショートカットを用いて独創性を生む思考法

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富士山の五合目まで、まず車で行く。本質はショートカット先にある

音部:冒頭で触れていただいたMarkeZineの記事で、私は「知能とは、認識の中での世界の再構築」だと述べました。人間が知能を発揮するとき、経験を通じて正解に近い答えを見つける自動処理が働きます。

 この処理を「ヒューリスティックス」と言いますが、その実現には膨大な時間がかかります。当然、3歳児より30歳のほうが、ものの認識やそれをもとにした解の提示を精度高く行えるわけです。

 御社のAIの使い方は、誰がやってもほとんど変わらない“世界認識”を、AIに肩代わりさせるという思想が明確だと思いました。たとえるなら、富士山の五合目までは車で行き、そこから先の差がつく部分を自らの足で歩くようなものでしょうか。

柴山:まさにその通りです。我々も、ツールの出力をそのまま使うことは現場に求めていません。AIは、先ほど申し上げたように、最大公約数に答えが収束しやすい特性があります。我々がこれらのツールで目指しているのは、まずはスタンダードを自動で出すことです。

Hakuhodo DY ONE 常務執行役員 柴山大氏
Hakuhodo DY ONE 常務執行役員 柴山大氏

 その上で、人間が、いい意味での違和感をどう加えていけるか。プランナーやクリエイターがこれまでかけていた時間をショートカットして、素早く高みに押し上げるためのアシストツールという考え方があります。その根底にあるのは、博報堂DYグループの掲げる「AI powered Creativity」の理念です。

音部:下ごしらえを機械に任せ、人間はその標準を超えることに注力する、ということですよね。AIのアウトプットそのものに依存するのではなく、それを博報堂らしいものにするための信念を感じました。

コピーライターAIの弱点。視覚的情報の組み込みの甘さ

音部:標準の抽出において優れた装置である一方、さらなる進化の余地も感じました。たとえば、デモで見せていただいたバナーのバリエーションにおいて、視覚情報の同一性はあまり担保されていないようでしたね。色や配置、人物の表情や姿勢など、人間の生理的な仕組みに訴える部分は、ブランドの進化の方向性として強化できるポイントでしょう。

 データ基盤である「AudienceOne」との連携についても、現状はそのポテンシャルの数パーセント程度に留まっている印象を受けました。予定されていると思いますが、今後さらに連携が深まると、「なぜこの10本のクリエイティブが必要なのか」という意義を、より深い人間理解に基づいて抽出できるようになると思います。そうすると、さらに強力になりますね。

柴山:おっしゃる通りです。現状はまだ、バリエーションを大量に出した中から「選ぶのは人間」という段階にあります。どのファネルで、どの生活者にどのクリエイティブが最適なのかは、まさに五合目から人間が歩むパートですね。活用できるデータを最大限に生かし、選別の精度を高めていくことは、今後の大きな課題です。

音部:構造的に見ると、これはLLM(大規模言語モデル)ベースなのですよね?

柴山:はい、今日ご覧いただいたツールはそうなります。

音部:すると、言葉に依存しているわけですね。その点で、「コピーライターのAI」という印象を受けました。インプットした情報や、AIが整理・分析した内容から、コピーや訴求軸が抽出されていると思いますが、アートディレクター的な視覚情報の部分にまでは反映されきっていないように見えました。言うならば、ラジオCMに基づくテレビCMのような感じでしょうか。

 いずれは、競合のビジュアルやカテゴリーのデフォルトを踏まえた上での表現の選択なども、AIがサポートできるようになっていくのでしょうね。

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AIの得意技は大量生産。一方で場当たり的な判断は命取りに

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Hakuhodo DY ONE

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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