CTCとトヨタ車体が共同研究を開始　熟練技能者のノウハウをAIエージェントに組み込む

　伊藤忠テクノソリューションズ（CTC）は2025年12月2日、トヨタ車体とマルチモーダルAIエージェントを活用した品質管理の高度化に向けて共同研究を始めたと発表した。研究期間は2025年10月1日から2026年3月31日までである。

　この取り組みは、トヨタ車体の熟練技能者のノウハウを、画像や動画、センサー数値、記録文書など多様なデータ形式で扱えるAIエージェントに組み込むことが目的だ。作業記録や各種センサーデータ、外観検査画像、製造条件や過去の履歴情報など、多角的な情報を組み合わせて解析する。

　CTCは、製品の品質予測や技能分析を担うAIエージェントのプロトタイプを開発する。2つのAIエージェントが連携して情報をやり取りし合う「A2A（Agent to Agent）」方式を採用し、熟練者のノウハウを再現し、より精度の高い品質判断を目指す。プロトタイプ開発には、ヘッドウォータースおよびベトナムのDATA IMPACT JOINT STOCK COMPANYとも連携し、技術力とコスト面の強化を図る。

　CTCはこれまで30年以上にわたり製造業向けITサービスを提供しており、今回の共同研究で得た知見は自動車産業だけでなく、他業界での熟練技能者の高齢化や品質確保の属人化課題の解決にも応用可能としている。経験や勘に頼っていた判断をデジタル化し、製造現場のスキル継承や品質安定化の促進を目指す考えだ。