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AIエージェントとの120日間~協働から見えた成功と失敗のリアル~

【営業編】受注率を上げるAIエージェント活用術 鍵は「どこに」導入するかの見極め力

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 AIエージェント導入の目的は「業務効率化」にとどまらない。それは営業でも同じだ。サイバーエージェントグループ・AI Shiftでは、営業活動の構造そのものをAI前提で再設計し、“売れる営業組織”を生み出そうとしている。PM・マーケティング・営業など、実際の現場で起きた試行錯誤を通じて、AIエージェントと人が協働するまでの120日間を追う本連載。第5回は、営業活動における「商談中」に焦点を当てる。

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よくある“使われない”の壁 日常にAIを組み込む方法とは

 前回は、商談前におけるAIエージェントの活用についてお伝えしました。情報収集や要約、過去履歴の整理などをAIエージェントが担うことで、営業担当者は情報が整った前提のもと、商談に臨めるようになります。これは、自分の業務の一部をAIが代替してくれるという、比較的わかりやすい変化でした。

 しかし、営業活動の成果を大きく左右するのは、最終的には「商談中」の判断です。商談前は準備の時間ですが、商談中は本番。顧客の反応を受け取りながら、その場で意思決定を重ねる時間であり、営業にとって最も緊張感の高い瞬間ではないでしょうか。

 そんなすばやい判断が求められる場に、AIエージェントはどう関われるのか。ここにこそ、営業向けAIエージェントの難しさがあります。そこで今回は、当社が営業向けAIエージェントを商談中に導入する中で直面した課題と、その解決までの試行錯誤について共有します。

 商談中のAIエージェント活用において、当初直面した壁は技術ではなく「使われない」という現実でした。現在はカレンダー連携により、商談予定が登録されると自動的にAIエージェントが紐づく設計となっています。しかし、導入初期は、商談ごとにAIエージェントを同席させる登録作業が必要でした。この一手間が、想像以上に定着を阻んだのです。

 商談直前の営業は、ご存知のとおり資料確認や過去商談の振り返りなど、優先順位の高いタスクが次々と発生し多忙です。その状況で「AIエージェントを登録する」という行為は、どうしても後回しになります。商談終了後に「また登録を忘れた」という反省の繰り返しが続きました。機能の価値は理解されていても、日常のオペレーションに組み込まれなければ存在しないことと同じです。

 この課題に対して、チーム単位で「商談同席AIエージェント数」の目標を掲げ、毎週チームごとに達成率を発表していく運用に切り替えました。個人任せにせず、組織として同席率を可視化し、意識的に増やすことで習慣化を促す作戦です。さらに現在は、カレンダー連携による自動紐づけへと進化し、物理的な手間は解消されています。

AIエージェントは受注率を上げる投資

 商談前であれば、情報収集、履歴整理、要約作成など、これまで時間を要していた工程をAIエージェントにやってもらうことで、営業担当者は思考に集中できます。しかし、商談中のAIエージェントは性質が異なります。AIエージェントの導入によって、議事録作成や商談後の自動メール生成といった付加価値はあるものの、商談時間だけを考えれば工数削減にはなりません。つまり、商談中のAIエージェント導入は、営業にとって最も重要な指標「受注率」の向上を目的に進める必要があるのです。

 商談の良し悪しは、派手なプレゼンテーションで決まるわけではありません。実際には、ヒアリングの質、顧客の温度感調整、重要な兆候のキャッチアップ、適切なタイミングでの深掘りなど、小さな判断の積み重ねが結果を左右します。では、どうすればAIエージェントで受注率を上げられるのか。当社がたどり着いた最適解を解説します。

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顧客のシグナルは人間だけでは拾えない どうAIエージェントを使う?

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この記事の著者

株式会社AI Shift AIエージェント事業部 チーフエバンジェリスト 及川信太郎(オイカワ シンタロウ)

新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。AIコールセンター領域でチャットボット・ボイスボットのセールスリーダーを担当後、プロダクト設計およびCS業務を担う沖縄対話センターの責任者を経て、現在はAIエージェントの導入・活用推進をリード。約90,000人への生成AIリスキリングを講師としても提供。Xはこちら(https://x.com/cyber_oikawa

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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