リアルタイムデータ分析基盤を提供するClickHouseが、AIオブザーバビリティプラットフォーム「Langfuse」と新たなパートナープログラムを日本で展開すると発表。2026年4月27日に説明会とともに日本法人設立記念パーティを実施した。

2016年からオープンソースでデータベースを提供してきたClickHouseは、2025年11月に日本法人を設立している。代表取締役社長の金古毅氏は「優れたAIモデルでも、データ自体が新鮮かつすぐに取り出して使える状態でなければ価値を発揮できない」と強調。ClickHouseの強みであるリアルタイム性を示唆した。同データベースは特にデータの圧縮技術が特徴だ。増え続ける大量のデータを効率的に圧縮することで、結果的に多くの企業が課題を抱えるコストの最適化に寄与する。
同社を支援しているジャパン・クラウド・コンサルティングの代表取締役社長 福田康隆氏も登壇。「AIドリブン時代に、膨大なデータを高速処理できるデータマネジメントプラットフォームは不可欠」と断言した。
当日は、経営陣も来日し日本市場への期待を語った。ClickHouse CEOのアーロン・カッツ(Aaron Katz)氏は、過去にSalesforceで福田氏とともに切磋琢磨した人物だ。同氏は、AnthropicのClaude、OpenAIのChatGPT、xAIのGrok、そしてこれらのモデルの上に構築されたアプリケーションの多くがすでにClickHouseと述べ、存在感の強さをアピールした。また「3~5年以内に、日本が当社にとってトップ3の市場になる」と、日本市場における成長意欲を示した。
なお、新たに発表されたLangfuseとパートナープログラムの内容は次のとおり。
Langfuse
AIアプリケーションの開発と改善に特化し、リアルタイムでアプリケーションの品質管理やコスト評価を行うプラットフォーム。AIの回答がブラックボックス化しているという課題を背景に、開発された。
新パートナープログラム「HOUSE MATES」
ClickHouseの導入支援、コンサルティング、および移行サービスを提供する「サービスパートナー」、ClickHouse製品の再販(リセール)を行う「チャネルパートナー」、AIプラットフォームやETLツールなどを展開し、ClickHouseとの統合、またはClickHouseを基盤とした製品開発を行う独立系ソフトウェアベンダー「テクノロジーパートナー(近日適用予定)」の3タイプを通じて、日本市場におけるパートナーエコシステムを構築する。
そのほか説明会には、実際にClickHouseを活用しているマツダ株式会社、フリー株式会社も参加し、使い心地などを共有した。
マツダは2030年までに生産性倍増を目標として掲げており、2025年9月には「マツダAIトランスフォーメーション」から名付けた「MAXプロジェクト室」を新設した。そのAI推進において、ClickHouseが重要なデータ基盤になっているという。2016年からデータ活用に注力してきたものの「当時はデータの蓄積と高速に取り出すことを両立するのが難しかった」と、同室の吉岡正博氏は振り返る。しかし、「600万件/秒のデータ検索が可能」という事例を目にし、2018年にClickHouseを導入。速さに加えて、今のところ障害が発生していないという安定性を評価しているとのことだ。
一方のfreeeでは「Langfuse」の活用からスタートした。同社は「Done for You」をスローガンに、AIエージェントが人の代わりに仕事を完了させる世界の実現を目指している。それにともない、System of Engagement(SoE)からSystem of Record(SoR)へと軸足を移す。こうした背景から、freeeの鈴木嘉恵氏は「LLM Observabilityが不可欠だ」と語った。具体的に3つのプラットフォームを比較したが、機密データを社内のインフラに閉じた状態で活用できるセキュリティ面の強みなどから、Langfuseを採用。結果的に、ハルシネーションやタスク遂行率を定量評価できるようになるといった変化があったという。今後は、Langfuseを活用した評価駆動開発を各プロダクトチームが自律的に進められる環境整備を行う考えだ。
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