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AIツールを導入で終わらせない──現場を動かす実践知

AIで新たな利益を──マーケ内製化で再成長を狙うライフネット生命保険、競合との差別化要素とは

業界特有の広告の課題 「何にAIを使うか」が解決の鍵

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広告クリエイティブにどこまでAIを使うべきか……

──昨今のAIの進化を見ていると、クリエイティブの生成クオリティが飛躍的に向上しましたよね。広告運用においてはメリットが大きいのではないでしょうか。

後藤:それは事実ですが、当社のAI活用はクリエイティブ生成がメインではないんです。実は、全社的に活用が進んでいる独自開発の「文書校正AI」が肝。広告のコピーや保険商品の説明文が適切かをチェックしてくれるツールです。

橋詰:生成AIをクリエイティブに安易に使い信頼が失われる状況は、何があっても避けるべきです。生命保険は加入者があらかじめ公平に保険料を負担し、もしものときに給付を受け取る仕組みであるため、公平性を担保する目的で保険業法や金融サービスの提供に関する法令を遵守したうえで、広告クリエイティブも制作しなければなりません。

 特に誤解を招く表現はNGです。もし誤解をされたままご契約された場合、お客さまが万が一のときまで気が付かず「期待していた保障が受けられない」「支払ってきた保険料も戻ってこない」という最悪の事態が想定されます。適切な情報を提供したうえで当社を選んでもらいたいですし、マーケティングもその信頼のうえに成り立っています。

ライフネット生命保険株式会社 データサイエンス推進室 橋詰青弥氏
ライフネット生命保険株式会社 データサイエンス推進室 橋詰青弥氏

後藤:広告代理店も理解は示してくれるものの、具体的な対応までは難しいのが現実です。その中で使えるAIとは「品質を確認するAI」だと思います。そして、次にその知見を活かしてクリエイティブの制作をフォローするAI。この順番が重要です。それが用意できない、使いこなせない企業はAIに振り回されてしまうでしょう。

──その文書校正AIとは、どのようなものなのでしょうか。具体的に教えてください。

後藤:広告も含め、お客さまの目に触れるものを対象に「社内の校正ルール」「広告表示ガイドライン」「ブランドガイドライン」に照らし合わせて、表記ゆれ、言い回し、出典ルールなどに問題がないかをチェックします。もちろん、最後は人の目で確認するフローです。

 保険業界の場合、他業界で使用しやすい訴求文言が使用できないケースも多いです。そんな業界の常識をまだ知らない中途社員でも、文書校正AIによって一定レベルの広告テキストを制作できます。

 私自身、毎日大量のテキストを確認し疲弊していました。この状況をAIで改善できないかと、2023年7月から私と橋詰で開発をスタートし、2024年にリリースしました。

──表記や表現のルールは、既に社内で標準化されていたのですか。

橋詰:それが、属人化していたり、部署によってルールにバラつきがあったりする状況でした。中には、今は控えたほうが良い表現がそのままになっているケースもあったのです。そのため、まずはルールをそろえる必要がありました。後藤と協力して、主要部門の社員にはほぼ全員にヒアリングしましたね。法務をはじめ、実際に表現をチェックしている部門には試作の段階で試してもらい、フィードバックに基づいてアップデートしていきました。全社的なAI活用自体は2024年頃から始まっており、既に広く浸透していたことから、どの部門も協力的でした。

渡邊:ただし、AIに何を任せるかの線引きが重要ですね。便利なAIツールに任せきりにして、人間が判断することをやめてしまったらどうなるか。私はマーケティング能力が落ちてしまうと予想しています。

 今までの負担が軽減された分、考える業務やお客さまと向き合う業務に時間を割いていく。そして、そこから新たに得たデータを再びAI活用に適用していく。このサイクルを作る必要があります。

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組織が小さいほうがAI時代に勝てる その理由は?

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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