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AIツールを導入で終わらせない──現場を動かす実践知

AIで新たな利益を──マーケ内製化で再成長を狙うライフネット生命保険、競合との差別化要素とは

業界特有の広告の課題 「何にAIを使うか」が解決の鍵

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組織が小さいほうがAI時代に勝てる その理由は?

──今後は、各社がAIを使うことが当たり前になるはずです。そうなったとき、スピードや正確性だけでは差別化が難しいのではないでしょうか。

渡邊:AI時代においては「ヒューマンスキル」と「少数精鋭の機動力」が差別化要素となるでしょう。つまり、AIモデルのスペックではなく、それを操る人間の意思と組織の身軽さにフォーカスしていく、ということです。

 汎用的なAIモデルは、今や誰でも使えます。しかし、アウトプットの質には天と地ほどの差が出るのも事実です。人間側のスキルこそが、その差を生むと考えています。

 たとえば、AIに「保険の広告案を書いて」と指示を出すのと、「30代の子育て世代が抱える『足元の経済的不安』『何かあったときの懸念』に寄り添いつつ、解決策として掛け捨て型生命保険のメリットを提示する構成案を、共感を生むトーンで作成して」と指示を出すのでは、後者のほうが理想とする回答が得られるでしょう。このように「問いを立てる力」「文脈を設計する力」で他社と決定的な違いを生み出していきたいです。

 加えて、少ない人数でいかに大きな成果を出すかにこだわっていきます。人数が少ないということは、AI時代においてメリットなんです。AIを使いこなすための教育コストを圧倒的に抑えられます。大きな組織がメンバーの意識の統一やマニュアル整備に時間をかけている間に、我々は数名のメンバーで最新のプロンプトエンジニアリングを共有し、翌日には実務に反映できるのです。変化の激しいマーケティング市場では大きな強みとなります。

後藤:もちろん、すべてが順風満帆ではありません。最大の壁は、コンプライアンスの遵守とチェック体制の確立です。生命保険会社として、正確性や法令遵守の確認プロセスは絶対に譲れません。そこは、人間の目視にも頼らざるを得ないでしょう。

 こうした背景から、チェック側のボトルネックを解消しない限り、コンテンツの生産速度は上がらないと思います。そのため、今後はチェック体制そのものにもAIを組み込んでいきたいです。

 具体的には、過去の膨大な審査データやNG事例を学習させた監査モデルの構築や、人間が最終確認をする前の2次チェックの自動化などが挙げられます。チェック作業からの解放が、本質的な顧客理解や新しい保険サービスの企画につながるのではないでしょうか。

 AIを使い倒して、人間は人間にしかできないことに没頭する。当たり前のことをどこまで徹底してやり切れるかが、勝負の分かれ目です。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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