未来の制作現場は“カメラのないスタジオ”
――そうした環境整備の先に、どのような制作現場を描いているのでしょうか?
柴山:言うならば、「カメラのないスタジオ」です。従来のスタジオにはカメラがあり、照明があり、セットがありましたが、これからのスタジオには、高性能なGPUマシンとモニターがずらりと並ぶことになります。そこでは、撮影をする代わりに、プロンプトとノードを駆使して映像を生成し、CG編集をする代わりに、AIによる演出処理を行っています。
物理的な撮影は行いませんが、やっていることは撮影と同じです。ライティング、被写体の動き、背景のシズル感といった要素をすべてデスク上の画面の中で完結させる。先行して使いこなしているクリエイターらが、AI専門チームのAIディレクター、そしてエンジニアと組んで、環境のアップデートや調整を重ねています。
――クリエイターにとっては、夢のような環境であり、同時に高いスキルが求められる場所でもありそうですね。
柴山:そうですね。先ほど申し上げた通り、求められるのはAIの操作スキル以上に、本来のクリエイティブの基礎体力です。美しい構図や動きを見極め、人の心を動かすストーリーを描けるか。その本質的な能力さえあれば、AIが可能にする表現や演出で、クリエイティブの可能性を圧倒的に広げられると考えています。
テクノロジーは手段、本質は心を動かすこと
――最後に、こうしたクリエイティブの革新をもって、クライアント企業に新たにどのような価値を提供していくお考えか、お聞かせください。
柴山:究極的には、広告クリエイティブの役割は変わりません。生活者に気づきを与え、心を動かし、行動につなげてもらう。AIはそのための手数を、圧倒的に増やしてくれたに過ぎません。
技術偏重に陥って、AIで大量生産できるから量産しました、では意味がありません。商品やサービスの魅力をどう伝えるかという本質を捉えた上で、コストや時間の制約を超えていく。これがクライアント企業に対する一つの大きなメリットだと考えています。
もう一つは、前述のように表現の幅が広がり、様々なバリエーションの広告を量産できることで、アルゴリズムを介して潜在顧客に出会いやすくなることです。まさに、量と質の担保ですね。
我々の強みは、長く広告に携わって蓄積してきた豊かなクリエイティビティと、それを最大化していくGPUやワークフローという資産の両方を備えていることです。それでいて、技術偏重にならず生成AIのリスクや倫理としっかりと向き合い、この資産を形成していくことも重視しています。今後の人によるクリエイティビティの発揮、ひいては生活者にとってより良い広告体験の創出のために、この環境的な資産が効いてくるので、その強化を今後加速させていきます。
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