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行政のCAIOはどう動く?デジタル庁に聞いた民間との違いと現在地 「攻め切れない」を乗り越えるには

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 多くの企業が生成AI導入の検証に力を入れた2025年。それを受けて2026年は実装の年になるといわれている。その鍵を握るポジションとして注目されているのがCAIO(AI統括責任者)だ。2025年5月には、政府でもCAIOの設置が発表された。民間企業では“攻め”の姿勢が目立つ一方で、行政機関ではCAIOがどのような役割を担っていくのか。実際の組織体制と現在地を聞いた。

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現時点で高リスク判断は1件 ある程度の利活用は各府省庁に委ねる

 政府内での生成AIの利活用が本格化したのは2023年頃だ。デジタル庁を中心に、民間企業も交えたアイデアソン・ハッカソンを開催し、霞が関の生産性向上に向けた実践的な検証を重ねてきた。2025年5月には、内製開発した生成AI環境「プロジェクト源内」をデジタル庁全職員に展開。国会答弁の検索や法制度調査の支援など、行政実務に特化したユースケースを現場で積み上げている。かつての「石橋を叩いて渡る」守りの姿勢とは、一線を画す動きといえるだろう。

 こうした流れと並行して2025年5月に策定されたのが「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」である。その柱の一つが、各府省庁へのCAIO(AI統括責任者)設置だ。

 行政のCAIOは必ずしもAI専門家である必要はなく、既存の役職者が兼務する形をとる。通常はITガバナンスを担うPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)と一体で機能し、デジタル庁がバックアップをする前提だという。デジタル庁 省庁業務サービスグループ 総括参事官の内藤新一氏は「AI専門人材の採用も厳しいのが現実。そのため、デジタル庁や有識者で構成する『先進的AI利活用アドバイザリーボード(以下、アドバイザリーボード)』との連携によって、仕組みでカバーする」と話す。 

デジタル庁 省庁業務サービスグループ 総括参事官 内藤新一氏
デジタル庁 省庁業務サービスグループ 総括参事官 内藤新一氏

 各府省庁のCAIOに求められるのは、生成AIの利活用推進とガバナンス確保の大きく2つ。CAIOは、そのための体制構築と実践の司令塔と位置づけられる。具体的には、各府省庁における生成AIの利活用ルールを定め、職員へ周知するとともに研修を行う。また、生成AIシステムのリスク判定を行い、高リスクとされる場合には、デジタル庁のAI相談窓口を経て、アドバイザリーボードにリスク軽減措置などの助言を求める体制だ。加えて「各府省庁AI統括責任者(CAIO)連絡会」も設置されており、横の連携も強化する。これらの仕組みにより、生成AI利活用のユースケースやリスク軽減策を共有するという。

 各府省庁へのCAIO設置からもうすぐ半年が経つが、今のところ高リスクと判定され助言を得たものは1件となっている。「高リスクではない生成AIシステムは、これまでのような事前承認は必要なく、各府省庁が自由に利活用できる」と内藤氏。一方で、課題は利活用の浸透だ。

「2025年度は、本格的な生成AI利活用の初年度といえる。2025年9月の調査では、全府省庁で利活用が始まっているものの、府省庁の職員全体に利用可能としているのは25府省庁中18府省庁にとどまっている」

 来年度はここをさらに広げる。「源内」の導入は、これまでデジタル庁を中心に霞が関全体の一部にとどまっていたが、2026年度からは希望するすべての府省庁へ展開する予定だ。

「昨年決定された『AI基本計画』でも、率先して幹部に生成AIを利用できるようにすることが盛り込まれている」

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ガイドラインと実態の乖離 リスク基準の見直しが急務に

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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