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安野たかひろ氏×石田健氏×工藤郁子氏が議論「AIは世論をどう“読んで”いるのか」 

【IVS2025】レポート#03

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倫理と規範こそがホットトピックになる時代

 最後に、3人は今後の展望を語った。

工藤氏:スタートアップやベンチャー企業の皆さんは、目的的に効率化を目指し、上場を目指して頑張るのが大前提ですが、たまに倫理や政治や規範、信頼などの話も思い出していただけると、理念やミッションに深みが出てくると思います。

安野氏:AIを使っていろんな人の声を聞いて、新しい政治の姿を設計していくのは可能性が開かれていますが、実践している人がほとんどいません。まだまだ未成熟な領域です。スタートアップ政党が国政に入っていって、いろんな模索をしていくプレーヤーがいるということは大事だと思います。

石田氏:去年のアンドリーセン・ホロウィッツのブログで一番インパクトがあったのがアメリカンダイナミズムの話で、インフラや防衛の危機に対し、アメリカのナラティブを再構築するところにお金や人が集まるべきだという内容でした。リストの最後にリベラリズムなどが入っていたんです。再構築するものとして。規範的に関心がある人もぜひ一緒にやりましょうという感じですし、社会的インパクトという意味では今後10年の超ホットトピックになると思います。

 モデレーターの佐久間氏は締めくくりにこう述べた。「今日のセッションを通じて、情報の読み取り方や集め方の変化、情報生産者やファシリテーターとしての活用可能性など、いろいろな角度からAIのもたらす影響を議論しました。結局、担い手や考える人がいないと、この議論は前に進まないし、より良くもなっていかない。それが今回のセッションの一番の学びです」

 AI効率化は避けられないが、効率化のみを追求すれば、ナラティブ氾濫・信頼低下・雇用危機対応の失敗を招く。技術は価値中立的ではなく、モデル選択やパラメータ設定すべてに価値判断が含まれる。企業のAI担当者は、倫理・規範を中心に据え、組織の規範的価値を技術に実装する最前線である。その自覚の有無が、AI時代の企業の分水嶺となる。

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この記事の著者

京部康男(AIdiver編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineとAIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

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