ただし、社内データだけでは捉えづらい市場の変化も どうカバーする?
今、各社が“社内”のコンテキストデータの整備に力を入れています。クローズドな独自データは、企業優位性を高める源泉だからです。
一方、社内データに並んで重要な役割を果たすのが、ウェブ上などに公開されているオープンデータ。クローズドデータとオープンデータを掛け合わせることで、たとえば人事なら転職市場にまだ出てきていない人材を掘り起こすことが可能となります。あるいは、候補者との関係作りの情報源にもできるでしょう。営業なら、商談を進めるために押さえておくべきキーパーソンや所属部署の電話番号に加え、企業の最新ニュースや動向も把握できます。
もちろん、独自のクローズドデータはそれ自体に価値があります。ただ、市場環境と照らし合わせずに活用すると、場合によっては偏った判断につながる可能性も。オープンデータがあることで、独自性と客観性のバランスを取ることができるわけです。
このオープンデータを自社で収集して検証しようとすると、かなり骨が折れます。現実的には、外部サービスを使うことになるでしょう。そのとき、社内データと照らし合わせてコンテキスト化できるかが、一つの見極めポイントです。また、自社のビジネスに合致するオープンデータを取捨選択する上で、オープンデータの「クローリング」「クレンジング」「ストラクチャリング(構造化)」という3つの技術を運用できるかも欠かせない視点となります。
これまでのデータ活用は、社内のデータや文脈をAIに学習させ、一般論ではなく自社に合った的確な答えを引き出すことにフォーカスされていました。もちろん、それも非常に重要ですが、新しいアイデアや発見に出会うには、オープンデータにも目を向けなければなりません。クローズドデータが持つ固有の文脈を土台に、オープンデータから得られる市場や社会の新視点を補うことで、AIがより適切な判断や提案を行えるようになります。ここに、まだ多くの企業が気づいていないように感じます。すでに技術的には可能です。その重要性に気づけるかが、今後の事業成長を左右するといえるでしょう。
クローズドデータは、これまでのDXによってある程度は整備が進んでいます。まだAI-Readyな状態となっている例は少ないですが、その状況から抜け出すのも時間の問題です。クローズドデータよりも圧倒的に量が多いオープンデータで実現できていることが、クローズドデータでできないはずがありません。半年~1年で景色は大きく変わってくると考えられます。そうすると、クローズドデータとオープンデータを掛け合わせて新たな価値を生み出すための議論が本格化していくはずです。
