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AIエージェントとの120日間~協働から見えた成功と失敗のリアル~

【マーケ編】AIエージェントが使えないチームの共通点 導入前に克服すべき3つの壁とは?

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 AIエージェント導入の目的は「単なる効率化」ではない。サイバーエージェントグループのAI Shiftでは、AIエージェントをチームの一員として捉え、“人とAIの協働”を目指した挑戦を続けている。PM・マーケティング・営業などあらゆる現場で実際に起きた失敗と改善を通じて、AIエージェントと人が協働するまでの120日間をリアルに追いかける本連載。第3回となる今回は、リード創出から商談につなげるまでを担うマーケティング領域の「属人化解消」と「AI活用の進化」がテーマだ。

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「あの人がいないとデータ分析できない」 なぜマーケは属人化するのか?

 今って、営業可能なリードはどのくらいあるんだっけ?

 過去のリードから、どれくらい新規商談が生まれそう?

 以前の当社には、こうした問いにすぐに答えられる人がほとんどいませんでした。答えを出せるのはマーケティングチームの限られたメンバーだけ。この原因は次の点にありました。

  • Salesforceの項目が長年にわたって増築され「データが整理されていない」状態だった
  • 顧客・商談データがスプレッドシートなどにも重複して登録されていた
  • 仕組みを理解している限られた人だけが、なんとか整えてデータを確認できる状態だった

 その結果、マーケティングチームは「戦略を考えるためにデータを整える」「それに追われて1日が終わる」「しばらくするとまた構造が崩れる」「再び必要となったタイミングでデータ整備期間に突入する」というサイクルを繰り返していました。AIエージェントと協働する以前に、そもそもAIエージェントに仕事を任せられる状態になっていなかったのです。

 AIエージェントと協働するためには、どのチームであってもデータの整備が非常に重要です。そのため、マーケティングチームでは「Salesforceでのデータ整備」と「AIエージェントありきでマーケティングプロセスを見直すこと」の2軸で、AIエージェントとの協働の第一歩をスタートしました。

 その中で、まず私たちがぶつかった壁は3つです。

(1)データが最新ではない・整っていないまま意思決定をしている

 これまで、マーケティングメンバーが必要になったタイミングで、急いでデータを整えるという場面が少なくありませんでした。また、データの取得元にばらつきがあり、業界・部署分類がなされていない、リードと商談が正しく紐づいていないといった状況も。このままでは、AIエージェントに「分析して」「示唆を出して」と頼んでも、的確なアウトプットを出してもらうことは難く、“整っていない現実”がそのまま返ってきます

(2)リードと商談が構造としてつながっていない

 商談を獲得した場合、本来であればリード情報が商談に紐づかなければなりません。しかし、実際には商談情報が新規で登録されていました。そうすると、記載されていない項目が増え「何と何が連動しているのか誰も把握していない」という状況に陥ります。リードから商談獲得までの一貫した追跡が難しいのです。

(3)オペレーションが属人化している

 イベントや直接的な営業など、商談のチャンスは多様な経路から舞い込んできます。ところが、商談情報の入力フォーマットが統一されていない、スプレッドシート・Slack・Salesforce……とあらゆる場所に同じ情報を手入力しなければならないなど、データを一元管理できていませんでした。結果的に「この人がいなければデータ分析もレポート抽出もできない」という状況が生まれていました。

 同じような課題を抱えているマーケティング部は、多いのではないでしょうか。これらの壁をどう乗り越えたのか。ここからは具体的な対策を解説していきます。

次のページ
「誰でも(=AIでも)データがわかる」状態の作り方

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この記事の著者

株式会社AI Shift AIエージェント事業部 チーフエバンジェリスト 及川信太郎(オイカワ シンタロウ)

新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。AIコールセンター領域でチャットボット・ボイスボットのセールスリーダーを担当後、プロダクト設計およびCS業務を担う沖縄対話センターの責任者を経て、現在はAIエージェントの導入・活用推進をリード。約90,000人への生成AIリスキリングを講師としても提供。Xはこちら(https://x.com/cyber_oikawa

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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