「あの人がいないとデータ分析できない」 なぜマーケは属人化するのか?
今って、営業可能なリードはどのくらいあるんだっけ?
過去のリードから、どれくらい新規商談が生まれそう?
以前の当社には、こうした問いにすぐに答えられる人がほとんどいませんでした。答えを出せるのはマーケティングチームの限られたメンバーだけ。この原因は次の点にありました。
- Salesforceの項目が長年にわたって増築され「データが整理されていない」状態だった
- 顧客・商談データがスプレッドシートなどにも重複して登録されていた
- 仕組みを理解している限られた人だけが、なんとか整えてデータを確認できる状態だった
その結果、マーケティングチームは「戦略を考えるためにデータを整える」「それに追われて1日が終わる」「しばらくするとまた構造が崩れる」「再び必要となったタイミングでデータ整備期間に突入する」というサイクルを繰り返していました。AIエージェントと協働する以前に、そもそもAIエージェントに仕事を任せられる状態になっていなかったのです。
AIエージェントと協働するためには、どのチームであってもデータの整備が非常に重要です。そのため、マーケティングチームでは「Salesforceでのデータ整備」と「AIエージェントありきでマーケティングプロセスを見直すこと」の2軸で、AIエージェントとの協働の第一歩をスタートしました。
その中で、まず私たちがぶつかった壁は3つです。
(1)データが最新ではない・整っていないまま意思決定をしている
これまで、マーケティングメンバーが必要になったタイミングで、急いでデータを整えるという場面が少なくありませんでした。また、データの取得元にばらつきがあり、業界・部署分類がなされていない、リードと商談が正しく紐づいていないといった状況も。このままでは、AIエージェントに「分析して」「示唆を出して」と頼んでも、的確なアウトプットを出してもらうことは難く、“整っていない現実”がそのまま返ってきます。
(2)リードと商談が構造としてつながっていない
商談を獲得した場合、本来であればリード情報が商談に紐づかなければなりません。しかし、実際には商談情報が新規で登録されていました。そうすると、記載されていない項目が増え「何と何が連動しているのか誰も把握していない」という状況に陥ります。リードから商談獲得までの一貫した追跡が難しいのです。
(3)オペレーションが属人化している
イベントや直接的な営業など、商談のチャンスは多様な経路から舞い込んできます。ところが、商談情報の入力フォーマットが統一されていない、スプレッドシート・Slack・Salesforce……とあらゆる場所に同じ情報を手入力しなければならないなど、データを一元管理できていませんでした。結果的に「この人がいなければデータ分析もレポート抽出もできない」という状況が生まれていました。
同じような課題を抱えているマーケティング部は、多いのではないでしょうか。これらの壁をどう乗り越えたのか。ここからは具体的な対策を解説していきます。
