マーケターの意思を反映するコストコントロール
――自動化ツールは「効率」を追求するあまり、現場の細かいニーズを反映しにくいイメージもあります。そのあたりはいかがでしょうか。
柴山:そこが我々の最もこだわっている部分です。単純にベストな成果を追うだけのツールでは、実際のマーケティング現場では機能しません。たとえばBtoB商材の場合、土日の配信を抑制したい、あるいは国民の祝日は停止したいといった細かな運用ニーズがあります。これらは、我々のメンバーがしっかりクライアント企業に相対して、キャッチしてくるものです。こうした人間が拾い上げてくることを、機能として実装しています。
――月末予算の使い切りや季節要因など、広告主ごとに個別の事情もあると思いますが、それらへの対応も可能なのですか?
柴山:はい、個別事情も非常に重要視しています。月末に契約が集中する商材であれば、あえて月末に予算を寄せるという「意思」を、ウェイト設定によってツールに反映できます。仮に1ヵ月の予算が100万円なら、AIがその制約の中で、人間の戦略的な意図を汲み取りつつ、最終的に99.9%の精度で予算を最大限活用しながら最大成果を目指します。
――AIが足りない部分を人が補い、人の意思をAIが最適化する。まさにハイブリッドな運用が実現しているのですね。
柴山:そうです。標準的なオペレーションはAIに任せる一方、依然として人間の介在価値が残る、企業の「戦略」をどう露出に反映させるかという部分に集中できる体制になっています。
広告主企業とのコミュニケーションを革新する「iPalette」
――では、分析・レポーティングツールの「iPalette(アイパレット)」についても伺います。他社ツールとの違いは何でしょうか?
柴山:「iPalette」は単なるレポーティングツールではなく、広告主企業と我々をつなぐ「コミュニケーションプラットフォーム」で、こちらは3年近く運用しています。「Advertising Flow」における配信の最適化は数理最適化AIが担い、その結果の解釈や対話は「iPalette」の生成AIが担います。
従来の広告運用では、データをExcelやPowerPointにまとめ直して報告する工程が発生し、そこに大きなタイムラグとリソースが生じていました。その点、「iPalette」はWebダッシュボード形式で、常に最新の情報を提供します。これにより、広告主企業はWeb上で「自分の欲しいタイミングで最新の成果を見る」ことが可能になります。しかし、本当の価値はその先にあります。
――レポーティングの先、というと?
柴山:分析のAI自動化です。たとえば、先月比でインプレッションが増えた際、それが単なる予算増によるものか、あるいはCPCの変動によるものかといった因果関係を、AIがボタンひとつで読み解き、初期レポートを生成します。
もちろん、その初期レポートをそのままクライアント企業に提出することはほとんどありませんが、当社の広告コンサルタントが「どこに着目すべきか」を探す時間を大幅に短縮できます。レポートを読み解き、次の打ち手を考えるための議論に、より多くの時間を割いていく。それが、このツールの本質的な役割です。実際、使っていただいている企業からは、定例会などの質が上がったといった声が聞かれています。

