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業界キーパーソンに訊く、AI最前線

AIで金融の殻を破る──三井住友フィナンシャルグループ 磯和氏が語った最後に残る競争力とは

社内の反発を乗り越え、新技術でビジネスを変革する術

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新たなビジネスチャンス 「AI」「トークン」「量子コンピュータ」が金融取引を変える

石野:2026年を迎え、技術革新はさらに加速しています。この先に見えているリスクとチャンスを、それぞれどう捉えていますか。

磯和:リスクについては、一貫して「信用」だと思っています。我々は信用の上に成り立っている商売であり、それしか強みがないともいえます。AIは非常に脆弱な部分をはらんでいるため、ここで踏み外せば築き上げてきたものを一瞬で失うことになる。ガバナンスは守り続けなければなりません。

 一方、チャンスでいえば、私は「AI」「トークン化」「量子コンピュータ」の3つが完全につながると見ています。ステーブルコインなどのトークン化によって決済が瞬時に行われるようになり、プログラマビリティが実装されると、世の中のトランザクション量は桁違いになる。それを処理するには、量子コンピュータのようなパワーが不可欠です。この3つが揃うことで、金融取引のスピードや姿は、今とはまったく違うものになるでしょう。

 たとえば「500万円の資産のうち○割は不動産、○割はビットコイン」とプログラムしておけば、勝手に最適に回してくれる。技術的にはもうできる時代です。人間が介在していたマネーロンダリング対策なども自動化され、代わりに膨大なトランザクションを背景にした「新しい商売」が生まれてくるはずです。

AI時代に必要なのは“保留する”力 答えにすがらない向き合い方

石野:AIが当たり前になるこれからの時代、人間には何が求められるのでしょうか。

磯和:AIが進化すれば進化するほど、世の中はすぐ答えを求めるようになります。しかし、AIの出す答えは過去のデータをもとにした「妥当な判断」に過ぎません。未来永劫、正しいわけではない。前提が変われば答えは一瞬で変わります。

 これからの人間に必要なのは、その瞬間の判断ではなく、ストーリーで物事を見続け、考え続け、揺れ続けること。つまり「ネガティブ・ケイパビリティ(答えのない事態に耐える力、判断を保留する力)」だと社内でいい続けています。

 AIが「こうだ」といっても、「ちょっとわからないから、もう少し置いておこう」と、あえて合理的ではない判断をしてみる。答えにすがりつきたくなる誘惑にあらがい、そう簡単に判断しない力。これこそが、最後に残る競争力になると思っています。

 全員がAIの回答どおりに動けば、結局は同じ場所、つまりレッドオーシャンに行き着くだけです。そうしない判断をどこで下すか。ネガティブ・ケイパビリティを鍛えまくることこそが、日本企業が再び勝つための鍵になるのではないでしょうか。

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この記事の著者

ナインアウト株式会社 代表取締役 石野真吾(イシノ シンゴ)

ナインアウト株式会社 代表取締役 2013年、Sansan株式会社に入社し、営業・マーケティング領域の仕組みづくりに携わる。その後、Marketo/Adobeにてソリューション開発やSalesTech領域の新製品の国内展開を牽引。2019年よりSmartDrive株式会社にてCEO補佐兼CMO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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