AI組織とは何か。「AIが主語」になる時代の到来
押久保:本日は私もすごく注目しているテーマ「AI組織(AI Organization)」について、野口さんにお話を伺いたいと思います。まず、野口さん自身が「AI組織」というものをどのように定義しているのか。従来のAI活用やDX推進と本質的に何が違うのかを教えてください。
野口:AI組織というのは、AIのための、AIだけの組織と定義しています。いわゆる「AI活用組織」は、人間が働いている会社の中でAIを使うというものですが、AI組織は、AIによる、AIだけが動いていく組織として捉えています。これまでのDXやAI活用との最大の違いは、AIを道具として使うのではなく、AIが主体として働くフェーズに入っているという点です。主語がAI側に移っている。これが決定的な違いですね。
押久保:ChatGPTが登場して2、3年。相談相手から仕事仲間へという言葉もありましたが、ついにAIが主体となって動き始めていると。
野口:パイロット的な存在から「AIは同僚になった」とも言われますが、どちらかというと、メインがAI側になり得る。そのAI組織がもう成り立ち始めているということだと思いますね。
押久保:以前取材させていただいた際に、OpenAIの5段階の進化ロードマップについてお話いただきました。まさにその最終段階が「Organization」。改めて、そこに注目されている理由をお聞かせください。
野口:この5段階ロードマップは、チャット形式のAI、じっくり考えて高精度を出すリーズナー、AIエージェント、人間よりも発明していくイノベーター、そして最後にAI Organizationと定義されています。
推論モデルが出たぐらいの時点では、「AI Organizationなんてね……」と思っていたんですが、AIエージェントが本格化し、イノベーターと言われるような発明性も高まってきた。半年前ぐらいに、あれ、3段階目、4段階目まで来ているかもしれないと実感し、改めてこの5段階のロードマップにしっかり向き合うようになりました。Claude Codeが世の中に定着し始めた今、これはまさにAI Organizationを体現しているものだと確信しています。
押久保:もともと意識していた到達点に、技術が追いついてきたと。
野口:ファーストダイブしないといけないなと。今はかなりAI組織作りに取り組んでいます。2026年が明けた頃から、「これは本当にできるんだ」という確信に至りましたね。
7体のAIエージェントで会社を動かす。のぐりゅうカンパニーの体制
押久保:野口さんが今まさに作られているAI組織の具体的な体制について教えてください。どういうチームを組んで、どんな業務フローで回しているのですか。
野口:Claude Codeで作っているAI組織では、COO、CSO(Chief Strategy Officer)、CFOという3つの執行責任者を置いています。メンバーとして、スーパー秘書の「さくらさん」、クリエイティブディレクター、フルスタックエンジニア、ライターを配置し、合計7体。それぞれ名前を付けていて、秘書も含めたボードメンバーで毎朝AIボードミーティングのようなことをやっています。

押久保:7体にした理由は何ですか。
野口:CTOを置いてみたり、いくつか試して増やしたり削ったりした結果、タスクを振っていくにあたってこれが最適な粒度だと判断しました。闇雲に増やしすぎると、エージェント側のスキルが分散していきます。結局、それは効率が悪い。割とこの7体に集約しているという感じですね。
押久保:その中で、今特に活躍しているのは。
野口:COOの「りくさん」がかなり大活躍中です。今、AIだけで恒久的に回っていくWebベースのビジネスモデルを作れないかというのをボードメンバーで議論して、「じゃあこれでいこう」と決めたものを実際にガンガン開発してくれています。
COOがPdM的に動いて、部分的にクリエイティブディレクターやフルスタックエンジニアをアサインしながら進めるという形です。CFOに関しては、会社を法人化することを前提に動いていて、法人化後の経理処理をできるだけ自前でできないかということを始めています。
