ライブデモ②:KPI分析と改善案100個出して。AIをとことん働かせる作法
続いて菅原氏はサンプルのCSVファイルを読み込ませ、KPI分析を実演した。マーケティング3ヵ月分のデータから、訪問数マイナス7.9%、資料請求のコンバージョン率1.8%(目標2.5%)といった数値が即座に出力される。Claude Coworkはさらに「LP改善の優先度」「競合の価格訴求」までレポートにまとめてくる。
ここで菅原氏は「KPI改善案を100個出して、その中から優劣を決めて、5月に何を選ぶか決めてください」と指示。「人間なら遠慮してしまう面もありますが、AIには100本ノックでやってもらう。皆さんの使い方を見ていると遠慮している面があるのではと感じる。LLMが進化した理由は、ありえないぐらい計算させたから。その結果、異常な成果につながりました。使う側がその前提を意識しないと、AIのパフォーマンスは上がっていきません」。
実際に施策案100個が次々生成されていく間も、菅原氏はマイクロマネジメントを実演する。「違うでしょ」「コピーの内容は良くない、このコピーで100個出して」「競合を全部見て独自のポジションは何があるの」と、途中で口を挟む。アウトプットが微妙なら、音声入力でその場でFBする。「人間には言いにくいことも、Claudeに対しては辛口で言えます。忖度しなくていいので(笑)」。
待ち時間の活用も論点になった。Claudeが処理している間に何をするか。「40人いるのに、みんなで待ってるだけじゃないですか」と菅原氏。自身は10プロジェクトを並列で回し、一つが処理中の間に別のプロジェクトに音声で指示を出している。「待ってる時間が9割浮く。生産性が10倍になるとは、そういうことです」。
テクニックとして、中間ファイルを残す作法も繰り返し強調された。1回の指示で完璧なアウトプットを求めず、ぐるぐる回しながら磨く。各バージョンを残せば、過去の試行を学習させられる。「来週やる人は来週賢くなる、今日やる人は今日賢くなる。これが知が再生産されるということです」だという。
定例会議はいらない。ウォーターフォール型からアジャイル型の経営へ
講座の中盤、菅原氏は経営の話題に切り替えた。「経営とマーケティングはまだウォーターフォールでやっています」。要件定義をきっちりやり、ドラフトを作り、定例会議でフィードバックを受け、修正を重ね、4週間後にようやく承認される。これが日本の大企業に根づいた標準フローだという。
これが、Claude Coworkの登場でアジャイルに進めることができるようになったと菅原氏は語る。1ヵ月の次定例会議が週1で4回、各会議1時間として合計4時間。さらに最終的な意思決定に至るまで4週間かかっていた。それを最初に3時間、意思決定者に時間をもらえれば、その3時間で意思決定までもっていける時代になったという。
「社長が『これ違うんじゃないか』と言えば、その場でClaudeに音声で投げれば、15分後には修正版が出てきます。これを4~5回繰り返せば、大体2~3時間ぐらいで意思決定までもっていけますよね。人間は方向づけと意思決定に集中する。そういう時代になっていくと思います」
さらに菅原氏はこれまでのサイクルの意思決定に対して警鐘を鳴らす。
「AI前提に立つと定例会議をやってる会社は、遠くない未来に滅ぶと思います。エンジニアの世界では、既にそうなっています」
エンジニアの世界で先行したアジャイルが、Claude Coworkによって経営の意思決定にも広がっていくというのが菅原氏の見立てだ。
こうした話題と表裏一体なのがセキュリティやガバナンス面への指摘だ。CIOの抵抗で導入が止まるという、典型的な課題に対して菅原氏は反論する。
「アメリカでできているなら、できないのはどこかの部署のせい。それはCIOの力不足ということです。仕事のスピードが10分の1になる死活問題ですから、攻めの姿勢で動けないCIOは力不足ではないでしょうか」
