担当部署ではなく「全員」がAIエージェントを作る会社になった
押久保:CAIO就任から1年以上が経ちました。AI Native Twinの立ち上げや50以上の商用AIツールの導入など積極的に動かれてきましたが、今のAI推進の手応えはいかがですか。
山本:おかげさまで、想定より進んでいると感じています。具体的に大きく変わったのは、AI活用が「AI担当部署だけがやること」ではなくなったことです。業務の要件定義がきちんとできる人であれば、AIエージェントがほぼ作れる状態になってきました。「AIエージェントを作るAIエージェント」もあったりします。
以前は私が動かないと困るという場面も多かったのですが、今はみんなが勝手にどんどんAI化を進めていくので、ちょっと寂しいくらいです(笑)。マネジメントとしては大成功なんですが。
押久保:AIエージェントを作る基盤はどういった仕組みですか。
山本:社内では「AI For Growth Canvas」というプラットフォームを使っています。マルチLLM対応で、GeminiやClaude、ChatGPTなど複数のモデルを選べます。自分が作ったAIエージェントを社内でシェアしたり、誰かが作ったAIエージェントを呼び出したり、AIエージェント同士のオーケストレーションもやりやすい。RAG(検索拡張生成)やChatGPTのCode Interpreterとも繋がっているので、かなりみんな使っています。今年もAIビジネスアイデアソンをやっているのですが、各部門が競い合うようにAIエージェントを作っています。
AIならではの新しいマーケティングは、道半ばな状況
押久保:一方で、まだ道半ばだと感じているところは?
山本:既存業務をAIエージェントで高度化・効率化することには、ある程度の成功を収めていると思います。ただ、そうではなく「AIがあるからこその新しいマーケティング」を打ち出しきれていません。企業や消費者それぞれがAIエージェントを利用する世界観が語られ始めているのに、その世界観を体現するための十分な事例が提示できていない。もっともっとやるべきことがあります。
押久保:グローバルでの展開という観点ではいかがですか。
山本:電通デジタルをはじめとしたdentsu JapanのソリューションはAPACを中心に電通グローバルでどんどんと活用されています。また、GEOコンサルティングサービスなど、グローバルでの先進ソリューションの知見を活用し、電通デジタルでクライアントの支援を行っている部分もあります。
ただ、まだまだ連携を深めていくべきだと思っています。たとえば、生成AI内の広告はアメリカでは実装されているので、アメリカとの連携をさらに密に行い情報をいち早くとらえ、日本クライアントのアメリカでの先行利用を推進していきたいと考えています。
