Q&Aから見えた経営者の戸惑い。「知の換金性」を意識せよ
休憩を挟んだ後半は、参加者からの質問で進行した。
メモリーをつかさどる定義ファイルの作り方を問われた菅原氏は、「自分が賢くなくても作れます。Claudeに『私をプロファイリングして、足りない情報はネットで探してきて』と言えばよい」と答える。著作物がある人はそれを読み込ませるなども有効だ。失敗事例も入れることで定義ファイルの精度が上がるという声もあがった。
ある参加者は「1週間でClaude代が500ドルになりました」と打ち明けた。それに対する菅原氏の答えは明快だ。「10万円の価値は、10万円でいくら生み出すかで決まります」と断言。その上で、Claudeの利用料金が将来上がる可能性についても言及し、「知の換金性」という意識をもつことの大切さを強調する。
「LLMのプラットフォーマーは無慈悲です。今は利用できる価格ですが、付加価値の高いビジネスに振り切った人たち向けに値上げされていく可能性もゼロじゃないし、1年後に価格が10倍になっても不思議ではない」
日本だけがAIから取り残される「AI鎖国」のリスクを避けるには、料金を払い続けられる事業モデルへの転換が必要だ、というのが菅原氏の警告だった。
組織論への質問も複数出た。エンジニア採用がほぼ要らなくなり、業務委託チーム化していくと不安だ、という参加者に対して、菅原氏は「会社という枠組みが小さくなる」と応じた。自身も「30人の会社を買収して、AIで5人で回せるようにしたい」と話す。コモディティビジネスは、人件費が浮くことで利益体質に転換できる、というのが菅原氏のM&A戦略だ。
求められる「あーだこーだ言う力」。取り残されないためにいち早く経験を
「これからの人間に必要な力は何か」という質問への答えは「あーだこーだ言う力です」という、ユニークな表現で回答した。AIに対して「ここはこうしてほしい」「もっと違う角度で」と指示し続ける力のことを指し、部下に対して指示をする上司が普段やっていることだ。
「おっさん時代の到来です」と笑いつつ、若手には「今から触れていれば、これまでの人とはまったく違う使い方ができて、違った景色が見えるはず」とエールを贈った。
セミナーの締めくくりに菅原氏は3つの警鐘を整理した。第一に、仕事のスピードが10分の1になる危機感。第二に、Claude代を払い続けられる事業モデル(知の換金性)の必要性。第三に、AI鎖国リスク——日本だけが世界から取り残される可能性。
そして最後に、菅原氏はClaude Coworkに「明日から何やればいいか、スライドを作って」と指示。Claude Coworkが返してきた答えは「今すぐClaude Proを契約してください」だった。会場からは笑いが起こり、講座は終了した。
