AIコンタクトセンター基盤を提供するRightTouchは、SBI証券のカスタマーセンターにAIオペレーター「QANT スピーク」が導入されたと発表した。対応範囲は、パソコン操作やアプリ、各種ツールの設定に関する専用窓口「テクニカルリーズン」全体に広がった。平均通話時間は1件あたり1.6分短縮し、カスタマーセンター全体で月間2,933時間の応対時間削減につながっているという。

QANT スピークは、顧客の自由発話をもとに困りごとを把握し、適切な解決先へ導くAIオペレーターである。導入後は年間50万〜60万件の問い合わせに対応し、用件の振り分け精度は90%を超えた。一部の問い合わせ内容では、AIのみで応対が完結する自己解決率が85%となった。月間2,933時間の削減は、テクニカルリーズンを含む主要ダイヤル全体の月間約11万件のコールに当てはめた推計値である。
SBI証券のカスタマーセンターでは、新NISAの開始やオンライン取引におけるセキュリティ対策強化を背景に、入電件数がここ数年で約2.5倍、ピーク時には約5倍に増加していた。専門性の高い証券業務では採用・育成が追いつかず、人員増強だけでは対応しきれない状況が続いていた。また、従来の電話ガイダンスは選択肢を増やすほど顧客の選択負担が大きくなる課題があった。転送やかけ直しの増加は、顧客の不便とオペレーター負荷の両方に影響していた。
本人確認の場面では、AIが聞き取った氏名を復唱して確認し、認識に迷った場合は複数の候補を示す仕組みとした。これにより、誤認識による本人確認のやり直しを防いでいる。さらに、AIが聞き取った要約情報をGenesys Cloudの着信画面上に着信と同時に表示する仕組みへ改善し、画面遷移を伴わない応対を実現した。振り分け精度の向上に向けては、問い合わせ分類や通話タグの見直し、フローの修正とテストを約1ヵ月間集中的に実施した。
今後は、AIオペレーターによる問い合わせ内容の引き継ぎ範囲を拡大し、メインの証券ダイヤルなどへの展開を支援する。将来的にはCRMとの連携により、顧客の取引履歴や関心などに応じたオペレーターへつなぐマッチングの最適化も進める方針だ。
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