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【動画】東京科学大学が乗り出したAI時代の新教育とは? “コミュ力”必須の共創型エキスパートを育てる

特任准教授 橘優太朗氏に訊く「AI前提社会のリーダー像」


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「若手の知識とスキルを認めるべき」 世代間のギャップを埋めるには

藤井:そんなAIを使いこなせる若手の力を最大化するために、日本の企業や組織にはどのような変革が必要でしょうか。

橘:「失敗を恐れない文化」と「それぞれの意見にきちんと耳を傾ける姿勢」、そしてそれを実現する組織体制」です。AI活用は、やってみなければわからない部分が非常に大きい。若年層やAIに慣れ親しんだ学生は、まず「やってみる」というスタンスが身についています。周到な準備より、トライアンドエラーで成長していくスタイルです。企業は、こうした「失敗から学ぶことを重視する文化」を見習わなければなりません。

藤井:それに加えて、現場の個人の意見を吸い上げる体制も重要ということですね。

橘:はい。技術の進化によって「一人ひとりができること」の幅が広がりました。個人から我々の想像を超えるアイデアが生まれる可能性があります。そのため、まずは若手が組織のためになる知識やスキルをもっている可能性を認めるべきです。上から「押し付ける」のではなく、彼らの意見やアイデアを引き出して一緒に創り上げていく姿勢と組織体制が鍵となります。

 AIは社会的なインパクトが非常に大きく進化スピードが速いため、「年代間でのギャップが最も大きい技術」の1つです。特に大企業では、経営層・管理職と新入社員の間でAIに対する理解や認識に大きな差が生じます。AIの駆使という点では「若年層」「現場」が強い。彼らの生み出したユースケースやアイデアを、経営層や管理職がしっかり吸い上げて仕組み化する必要があります。

 もしも組織にトップダウン型・ボトムアップ型の偏重がある場合、どちらか片方が障壁になるでしょう。経営層と現場、双方のコミュニケーションと協調をこれまで以上に重視し、一方に偏りすぎないバランスの取れた体制を目指すべきです。

藤井:では、AI前提社会において、組織を動かし、変革をリードしていくリーダーとはどのような人々なのでしょうか。

橘:複雑で変化の速い現在の環境では、すべてを知った上でリードできる人材を求めることはもはや現実的ではないでしょう。私が考えるリーダー像は、自分が知らないことを知るための姿勢を持ち続けられる人です。新しい情報が溢れる中では、「自分が知らないことを知るための手段を知っている」ことが重要です。そして、その知識とリーダー自身の目的をきちんと伝えて、ときには人を巻き込み、ときにはアプローチを変えながら、一緒に同じ方向を向く仲間をつくれること。この「学ぶための手段」を体系化して教えることが、大学としての役割だと考えています。

藤井:最後に、AI活用に興味を持つ学生や次世代のリーダーたちに向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

橘:データサイエンスやAIは、もはや一部の専門家だけが扱う選ばれた人の学問ではなくなりました。基礎やリテラシーは、誰もが学べる、学ぶべき時代になっています。学生の方々には、AIによって社会がどう変わるのかだけでなく、自分が社会をどう変えるのかという視点を、ぜひ持っていただきたいです。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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