「誰でも(=AIでも)データがわかる」状態の作り方
最初の一手として取り組んだのが、Salesforceのデータ整備です。「誰であっても、最低限必要なデータは“勝手に”正しく入る状態」を作ることにしました。まずは現実を直視する必要があります。
正直、かなり整っていないですね──Salesforceの専門家から言われた言葉は今でも忘れられません。項目が増えすぎて使いこなせていない。ルールが決まっていないまま項目が増築されている。人によって入力漏れやデータ粒度の差が存在している。「このままAIエージェントとつなげても、思ったような結果は返ってこない」と感じ、土台の刷新を始めました。
ルールとともに“起点となる人”を決める
本プロジェクトでは「リードはマーケティングチーム/商談は営業チームが責任を持つ」「リード側の項目・構造はマーケティングチームが設計する」と方針を定め、「誰起点でデータを入力するか」を明文化しました。
特に大きかったのは、獲得した商談情報のフォーマットを標準化したことです。Slack上に流れてくる商談獲得報告に、リードを特定するための情報、ターゲット判定に必要な情報を必ず含めてもらうルールを定めました。ここまで情報がそろっていれば、Salesforceへの情報登録や商談のスコアリングまでをAIエージェントで自動化できる未来像が描けます。
誰でもデータを分析できる状態へ
入り口を整えたら、次は分析です。これまでは、リード数・商談数・ターゲット比率・各サービスの商談創出状況・過去リードからの再商談のポテンシャルなどを知るために、マーケティング担当者がSalesforceからスプレッドシートへデータをエクスポートし、手作業で属性のフィルタリングを行っていました。
そこで活用し始めたのが、Salesforceが提供するビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Tableau」でした。データを分析・可視化するものです。
Salesforceに登録されているリード・商談データ、スプレッドシート側で管理しているイベント実績・セミナー来場データなどをTableau上で掛け合わせることで、各サービスのターゲット企業数、各ターゲットからどれくらい商談が発生しているのか、過去リードからの再アプローチの余地などを、事業責任者自身がダッシュボードで分析できる状態を目指しました。これにより「今どのくらいリードがあり、どのくらい商談が見込めるのか」という問いに対して、マーケティング担当者でなくても答えられるようになったのです。
