「人が情報を探す」前提は正解か? 業務分解で浮き彫りになったボトルネック
「営業個人の頑張り」や「経験値」に依存し続ける営業のあり方そのものを見直す必要がある。そこで私たちが描いたのが、AIエージェントを起点に情報が自動で集約される営業フローです。

従来の営業活動では、担当者が自ら情報を探し、集め、整理し、そのうえで判断することが前提でした。しかし、この構造では商談前の準備に時間がかかるだけでなく、確認する情報の粒度や順番が人によって異なるため、判断の質が属人化してしまいます。これは個人の工夫や努力だけでは避けられないものです。
このような状況を現場で見聞きする中で、私たちは次第に「個別のツールを改善するだけでは限界がある」と感じるようになりました。SFAの入力ルールを整えたり、議事録のフォーマットを統一したりしても、判断に必要な情報が分散している構造自体は変わらない。その結果、営業もマネージャーも「探すこと」に時間を取られ、本来向き合うべき判断や対話に集中できていない。
そこで私たちが着目したのが「人が情報を探しに行く」という前提そのものを見直すという視点でした。各チャネルで日々発生する情報や過去の商談履歴、顧客とのやり取り、社内に蓄積されたナレッジ、営業活動のログなどを人が横断的にその都度集めるのではなく、AIエージェントを起点として集約・整理できれば、判断の質そのものを変えられるのではないか。この仮説から、現在の取り組みはスタートしています。
この仮説を検証するため、まず取り組んだのが営業業務そのものを細かく分解することでした。商談準備、ヒアリング、提案内容の検討、社内共有、ネクストアクションの判断など、営業の仕事を一つひとつ洗い出していくと、意思決定のたびに「過去に何が起きていたか」「似たケースではどう判断されたか」といった情報を探し回っている時間が非常に多いことに気づきます。
つまり、営業のボトルネックは“考えること”そのものではなく、判断に必要な材料を集め、整理する工程にあるということです。この工程を人が担い続ける限り、属人化や判断のばらつきは避けられない。そうした問題意識から、情報の収集・要約・再構成という役割をAIエージェントに委ねることにしました。

そして、AIエージェントが「いまこの商談で判断するために本当に必要な情報は何か」という観点で情報を整理し、適切なタイミングで営業の手元に届ける。営業が「情報を集めにいく」状態から「整った情報を受け取って考える」状態へ移行する。これが、私たちが描いている次世代の営業スタイルです。
