なぜ、営業は「商談前」で疲弊するのか?
「商談前の準備に、思った以上に時間がかかる」
「この案件、どこまで進んでいるのか即答できない」
「誰が何をやっているのか、マネージャーから見えない」
こうした声は、営業の現場・管理職層に共通していました。営業活動の中心は“商談”のはずです。しかし実態は、商談に入るまでのプロセス──過去の接触履歴の確認、顧客情報の収集、社内ナレッジの探索、商談可否の判断といった「商談前準備」に多くの時間が奪われていました。さらに問題だったのは、この商談前プロセスが人によってやり方が違う、判断基準が言語化されていない、さらにデータが蓄積されず属人化している状態だったことです。
ここにAIエージェントを導入できれば、生産性が大きく上がるはず。しかし、そう簡単な話ではありません。営業領域でAIを活用するには、さまざまな壁が存在しています。
商談前情報が分断されている
以前は営業が判断する際に使いたい情報が、
- SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理)
- Slackなどの社内チャットツールやメール
- 過去の議事録
- 個人の記憶
と、あらゆる場所に散らばっていました。
たとえば「この顧客と前回どこまで話していたんだっけ」とSFA(営業支援システム)を開き、関連しそうなやり取りをSlackで検索し、見つからなければ過去の議事録を掘り返す。最終的には「たしか以前はこうだったはず」という個人の記憶に頼ることも珍しくありませんでした。結果的に「調べているうちに時間が過ぎ、結局いつもと同じ判断をしている」という状況が常態化していました。
マネージャーが現場を後追いでしか見られない
営業マネージャーにとっても課題は深刻でした。振り返りで確認できるのは「この案件は受注」「この案件は失注」といった結果だけ。なぜ受注できたのか、あるいはどの判断が分岐点になったのかは、担当者に口頭で聞かない限り分かりません。
「なぜ次のフェーズに進めたのか」
「そのとき、ほかの選択肢は検討していたのか」
こう問いかけても、返ってくる回答は担当者の記憶ベースの説明が中心。結果として、フィードバックは「今回はうまくいった」「次はもう少し早く動こう」といった属人的で抽象的なものにとどまってしまうこともあったのです。すると、営業活動のプロセスが見えないまま結果だけを追いかける状態となり、成功も失敗も構造化されません。営業活動がブラックボックス化し、「再現性のあるマネジメント」ができない状態に陥っていました。
